グリーンITに取り組まないリスク洞爺湖サミット迫る(2/3 ページ)

» 2008年06月27日 13時11分 公開
[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

トップランナー基準の適用拡大

 「トップランナー基準」とは省エネルギー法の中で定められている特定機器に対し、消費電力改善の目標値を設定する方法を指す。目標値を設定する時点で市場にて販売されている機器のうち、最も優秀なものを基準にするという考え方に基づいている。つまり、各機器ベンダーは常にトップベンダーの技術水準に追随する必要があるのだ。このトップランナー基準の対象機器となるIT関連機器が増加する傾向にある。最近の例としては2010〜2011年を目標達成時期として、新たに小型ルータとレイヤー2スイッチが対象に加えられる予定となっている。

図2 トップランナー基準の考え方

 このように省エネルギー法を中心とした法制度改正によって、ユーザー/ベンダー双方に省電力化への努力が求められてきている。その対象は中堅中小企業や小規模なIT関連機器に拡大してきている。当然ながら、IT機器を開発するベンダーだけでなく、それらを活用したソリューションを提供するシステムインテグレーターもこうした背景を理解しておくことが重要になってくる。

 とはいうものの、急にデータセンターの引越しをしたり、社内のすべての機器を省電力効果の高い最新機種に買い換えたりするわけにもいかないだろう。

 家庭における省エネでは「使わない家電製品のコンセントを抜いておく」といった対策がポピュラーだ。実は企業におけるIT活用でも同じような考え方で実施できる省エネ対策がある。

 まず挙げられるのが各種IT関連機器の省電力設定である。クライアントPCであれば、OSやベンダーごとの管理ツールに付属している省電力設定を活用することができる。プリンタのような周辺機器も待機状態における設定を変えることで消費電力を大きく下げられる場合がある。このレベルの対策であれば、追加投資は全く必要ない。個々の社員が省エネに対する意識をしっかり持つことが前提ではあるが、上記のような法制度に関連した背景から説明することで理解や協力を得られるケースも少なくないと思われる。

 一歩進めて運用管理ツールを使って一括して強制的に省電力設定をすることもできる。夜間にクライアントPCの電源を強制的にオフにするなどの運用は既に多くの企業が実施している。運用管理ツールの導入は新たな投資となるが、内部統制や情報漏えい対策といったほかの目的と合わせた総合対策を実施できるのであれば、十分検討する価値があるだろう。

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