先週のビッグニュースは、何と言っても「iPhone 3G」の世界同時発売。本コラムでも、iPhone 3Gが日本にもたらしうるインパクトや企業ユースの可能性について記しておきたい。
「いよいよ携帯電話がインターネットマシンになる時代が来た」
「携帯電話ではなく、パソコンが手のひらの上に来た感じ。やっぱりスティーブ・ジョブスは天才だ」
「これほど人々に感動を与えられる製品は、歴史上そうそうあるものではない」
7月11日、Appleの「iPhone 3G」を発売したソフトバンクモバイルの孫正義社長は、早朝から順次、都内3カ所で行った発売記念セレモニーにおいて声高々にこう話した。
筆者もその1カ所となった東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkibaに駆けつけた。現場は、発売を待ちわびた購入希望客と報道陣で熱気に溢れ、セレモニーの冒頭で孫社長が「これほど人々に……」と話し出すとボルテージが一気に高まった。
この日、iPhone 3Gは、Apple主導で世界21カ国・地域で同時発売された。iPhone 3Gの内容や発売記念セレモニーについてはすでに多くの報道がなされているので、ここでは割愛する。
ただ、iPhone 3Gについて基本的に押さえておきたいのは、そのソフトウェア技術はパソコン向けの「Mac OS」をベースにしており、携帯音楽プレーヤー「iPod」、コンテンツ配信サービス「iTunes Store」のグローバルでの成功がバックボーンにあることだ。さらに1年前に発売された初代iPhoneは、欧米で600万台の販売実績を持つ。
そうしたiPhone 3Gの日本上陸をして“黒船襲来”と表現する報道もあったが、iPhone 3Gが日本にもたらしうるインパクトという意味では、筆者も“新たな文明開化”のきっかけになるととらえている。
その象徴的な変化をもたらしそうなのが、通信事業者による垂直統合型の事業モデルだ。日本ではこれまで、携帯電話の通信事業者がメーカーと共同で端末を企画し、通信事業者固有の仕様に基づいて製品化してきた。しかし、iPhone 3Gの場合はAppleが主導権を握り、通信事業者ごとに異なる端末仕様は実装しない。通信網構築に加え、端末の開発からサービス提供まで主導してきた通信事業者の役割は、今後小さくなる可能性があるのだ。
iPhone 3Gの最大の魅力といえば、何と言っても人間の感性に響く操作性をはじめとした製品力だろう。一方、最大の強みとなると、そうした製品力に下支えされたグローバルでのボリュームビジネスを展開できることだ。iPhone 3Gの凄さはそこにある。
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