お盆休みに考える「プロSE論」――ITマネジャーが見抜く設計書闘うマネジャー(1/2 ページ)

発注側のIT担当者として、マネジャーは外部のSEの質をどう判断すればよいのか。業務のプロではない、システムのプロであるSEに求められるものは、誠実に、丁寧に顧客とともにシステムを作っていく姿勢だ。

» 2008年08月15日 13時37分 公開
[島村秀世,ITmedia]

都合よく書かれた設計書にITマネジャーは?

 今まで何度となく書いてきたが、SEは業務のプロではない。だから、顧客業務の具現化ともいえるシステム画面をデザインすることはSEには難しい。また、情報をどう管理するかについても、業務を十分に理解した上でないとできないので、テーブル・フォーマットもなかなか書けない。

 職員が業務のプロならSEはシステムのプロである。システムのプロとは何ができる人なのだろうか。幾つかの言語を使えたり、OSのインストールや設定ができるからプロという事では無いはずだ。辞書によれば、「プロとは自分の職業や、そのための技能、専門的知識に強い自負心と探求心を持ち、社会的責任を自覚すること」とある。最後の言葉が厳しい。「社会的責任を自覚」できないようでは、プロではないのだ。

 ところで、業務システムに求めるSEは、OSや言語を作るような卓越した技術者ではない。顧客である自分の「効率化したい。便利にしたい」という思いを真摯に汲み取り、丁寧かつ誠実にシステムを組み上げていく人が、求めているSEだと筆者は思う。では、丁寧とは何だろう。丁寧とは、顧客に教えながら、時には教えられながら一緒になってシステムを作って行くことだと思う。誠実とは何だろう。誠実とは、顧客と別の視点に立ってあるべきシステムの姿を提示し、顧客と対峙することも恐れず話し合おうとする姿勢だろう。

 読者の手元に設計書があるなら見て欲しい。その設計書は丁寧かつ誠実に書かれていますか。最初のページを開いてよく分からないから、次のページを読んでみるなんていう設計書になっていませんか。それでも分からないから、どんどんと先へと読み進んだが、結局分からないなんて設計書になっていませんか。

 だったら、その設計者は丁寧でも誠実でもありません。お金をもらうために書かれた、都合の良い分厚い設計書に過ぎない。

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