外資系会計ファームの買収は上流提案力の強化が目的？：ビジュアルなグラフで理解（3/3 ページ）

[イノウ業界研究会，ITmedia]

江水君　次に、コンサル系にはどのような企業がありますか？

冠里さん　ざっと、このような感じです。

図6　IT業界地図（コンサル系）

江水君　頭の良さそうな名前が並んでいますね。あれ？　 何で日立とか富士通といった名前の企業がコンサル系に含まれているのですか？

冠里さん　良い指摘ですね。実は、ここ数年で、コンサルティングファームの買収や資本参加によって、外資系会計ファームの多くが大手IT系企業の傘下に入りました。具体的には、米IBMが米PricewaterhouseCoopers （PwC）を買収してIBMビジネスコンサルティング サービス（IBCS）、日立がエクサージュを買収して日立コンサルティング、富士通が米Rapidigmを買収して富士通コンサルティング、NECがアビームコンサルティングに資本参加してアビームコンサルティング（名称変更なし）、NTTが日本キャップジェミニに資本参加はしてザカティーコンサルティングになったという具合です。

江水君　先を争って買収している感じですね。

冠里さん　大手IT系企業は、それだけ上流の提案力強化に必死だったんですよ。

江水君　でも、アクセンチュアやベリングポイントは買収されずに残っています。

冠里さん　ここをクリックすると分かりますが、大手IT系企業との提携を選ばなかったコンサル系は逆に、現在、システム開発・運用＆アウトソーシングへと自社のサービス範囲を広げています。

図7　IT業界地図（コンサル系＋システム開発全般）

江水君　なるほど！　 だからアクセンチュアやベリングポイントはシステム開発全般に分類されるんですね。

冠里さん　そう。彼らは自社内もしくはグループ企業にシステム開発や運用＆アウトソーシングを行う企業を抱えているのです。

江水君　野村総合研究所や日本総合研究所といった企業はどうなのでしょう？

冠里さん　総研系とも呼ばれる彼らは、ユーザー系とシンクタンクとの合弁で生まれた企業です。だから、もともと、システム開発の部隊も抱えています。

江水君　なるほど。一口にIT系企業といっても、その存在の仕方はさまざまですね。では、独立系とメーカー系にはどんな特徴があるのですか？

冠里さん　今日は長くなったので、それは次回にしましょう。

江水君　ひどい。お預けなんて……。

著者紹介

イノウ業界研究会　業界、会社、仕事のことを、「動く図表」「リアルなキャラ」「MECEな文章」を使い、Webと書籍の連動で「分かりやすく」解説することを目指しています。IT業界については「IT業界 しくみとながれ」、コンサルティング業界については「コンサル業界 しくみとながれ」でも動くグラフのサービスを提供中。

『世界一分かりやすい　IT（情報システム）業界の「しくみ」と「ながれ」』（amazonへのリンク）　イノウ業界研究会編著

江水くん、冠里さんをはじめとするキャラクタが解説する業界の「入門書」。IT業界を「分かる」ために必要な「業界の知識」「会社の知識」「業務の知識」「基本の知識」を提供。

※本連載は、＠IT自分戦略研究所と共同企画でお届けしています。