また、最近増えているのは、「光テレビ」のプロモーションである。一口に光テレビと言っても、いわゆるIP方式のVODや、ケーブルテレビと同じRF方式で提供しているものなどいろいろあるが、中でも、地上デジタル放送に対応した光テレビは、2007年下期ぐらいから加入ペースが非常に上がっている。
地上デジタル放送に対応した光テレビの例としては、NTTぷららの「ひかりTV(※フレッツ光ネクスト対象)」、オプティキャストの「スカパー!光」、ケイ・オプティコムの「eo光テレビ」、STNetの「ピカラ光てれび」などがある。事業者によっては、FTTHと光テレビのセット率が、月次の新規申し込みの40%を超えてきているという。
2011年のアナログ停波を前に、地上デジタル放送への関心は高まっている。そこで「現行のテレビを買い替えなくても地デジを見られる」という光テレビのメリットをアピールすることで、地デジの切り替え需要を巻き取りはじめているのだ。視聴率の低下傾向が指摘される地上波放送であるが、テレビは日本の世帯の90%以上に普及しているインフラである。こうした光テレビの加入傾向を見ると、依然としてテレビには根強い需要があることがうかがえる。
したがって、販売チャネルにも変化が出てきている。例えば、家電量販店でもPCコーナーだけではなくテレビ(家電)コーナーでのFTTHとのセット販売を目にするようになってきた。また、アクトビラの「アクトビラ」など、ブロードバンドを利用した新しいテレビサービスも登場している。
この光テレビに象徴されるのは、ブロードバンドサービスが「PC」から「家電」に対象が広がってきている、という点である。PC以外にも、任天堂「Wii」「ニンテンドーDS」、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント「プレイステーション3」「プレイステーションポータブル」、マイクロソフト「Xbox360」など、家庭用ゲーム機でもインターネット接続を推奨するものが増えてきた。
FTTH市場では、このように「PCから家電へ」という流れに乗って、加入数を伸ばしていこうとする動きが目立つ。
ところで、DSL・FTTH・CATVアクセスなどは、いわゆる固定系のブロードバンドアクセスサービスであるが、最近、移動系のワイヤレスブロードバンドサービスが立ち上がってきている。
2007年から携帯電話事業者が相次いで「メガクラス(Mbps)」のデータ通信サービスを提供し始めた。しかもそれらメガクラスのサービスを「定額料金」で利用できる環境が整備された。実測値も1〜2Mbps程度で利用できることから、初期のADSLやCATVアクセス接続と遜色ないレベルとなった。現在、ワイヤレスブロードバンドサービスのプレーヤーは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイル、ウィルコム、そしてWiMAXで参入するUQコミュニケーションズの6社である。
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