「OpenOffice.org Base」はMicrosoft Accessの代わりにはならないサポートが貧弱(1/2 ページ)

OpenOffice.org 3.0のデスクトップ用データベースアプリケーション「Base」は魅力的な新機能を備えるものの、Microsoft Accessと比べるとまだ見劣りがする。

» 2008年10月22日 16時05分 公開
[Jason Brooks,eWEEK]
eWEEK

 「OpenOffice.org Base」はデスクトップ用データベースアプリケーションであり、テーブル、クエリ、フォーム、リポートの作成や操作といった基本的なタスクを実行することができる。

 Baseは、OpenOffice.orgスイートに含まれるほかのアプリケーションとの連携に優れている。例えば、Base内に保存されたデータソースは、Writerのメールマージドキュメントに簡単に書き出すことができる。しかし、機能の豊富さおよびファイルフォーマットのサポートという点ではMicrosoft Accessに見劣りがするため、OpenOffice.orgのほかのコンポーネントと比べると代替製品としては不十分だ。

 OpenOffice.org 3.0は10月13日にリリースされた。OpenOffice.orgのほかのアプリケーションと同じくバージョン3.0となったBaseは、基本的にAccessに相当する製品だが、BaseとAccessのギャップは、OpenOffice.orgとMicrosoft Officeスイートのほかのライバルアプリケーションとの間のギャップよりも大きい。

 特に問題なのは、BaseでのAccessのデータベースファイルのサポートが、ほかのOpenOffice.orgコンポーネントがそれぞれ対応するOfficeアプリケーションに提供しているサポートよりもずっと貧弱なことだ。

 Baseでは、Microsoftの.mdbや.accdbフォーマットで保存されたテーブルにアクセスすることは可能だが、クエリを通じたアクセスは限定されており、Accessデータベースに保存されているフォームやリポートをBaseから読み出すことはできない。またBaseでは、新規のAccessデータベースファイルを作成したり、既存のAccessデータベースを修正したりすることもできない。

 しかもBaseがAccessに提供している貧弱なサポートさえも、OpenOffice.orgのWindowsバージョンだけに限られている。OpenOffice.orgのLinux版とApple OS X版は、Accessのファイルタイプを一切サポートしていないのだ。しかしLinux版で.mdbファイルをある程度利用できるサードパーティーのアプリケーションもある。その1つがオープンソースの「MDB Viewer」で、これを使えば.mdbファイルに保存されたデータをエクスポートすることができる。

 Baseは、MySQLやOracleなど、JDBC(Java Database Connectivity)またはODBC(Open Database Connectivity)ドライバが用意されている外部データベースに接続し、これらのフロントエンドとして機能する。また、スプレッドシート、テキストCSVあるいはdBASE形式のデータソースに保存されたデータを扱うこともできる。

 Baseは特にWindowsマシン上のODBCとスムーズに連携する。Linux上でODBCドライバを使用する場合は、「UnixODBC」という追加アプリケーションを使ってドライバを構成する必要があり、BaseからODBCソースにアクセスするプロセスは極めて複雑だ。将来リリースでは外部データソースへのアクセスがもっとスムーズになるよう、OpenOffice.org開発チームにがんばってもらいたい。

 今回、Baseに追加された新機能として、クエリ内でのクエリ(新規クエリの作成に際して、テーブルだけでなく既存のクエリを参照する機能)のサポート、およびBaseファイル内のマクロのサポートがある。これらはAccessで既に利用可能な機能であり、OpenOffice.orgユーザーがBaseを使って開発できるアプリケーションの種類を拡大するものとなる。

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