Adobe、SAP/Salesforceとの統合化でエンタープライズ市場に照準リッチアプリケーション開発を支援

AdobeがSAPとの協業拡張を発表した。Adobeツールを利用するSAP開発者のリッチアプリケーション構築支援が狙いだ。

» 2008年11月20日 09時17分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 AdobeがSAPとの協業拡張を発表した。Adobeツールを利用するSAP開発者のリッチアプリケーション構築支援が狙いだ。一方、Salesforce.comのエグゼクティブも、Adobeのフロントエンド設計および開発ツールを利用し、同様の取り組みを行うことを宣言した。Adobeのクリエイティブソリューションビジネス事業部上級副社長、ジョン・ロイアコノ氏は「エンタープライズ市場はAdobeのキーターゲットだ」と強調する。

 サンフランシスコ――コンシューマ市場向けの製品を長年開発してきたAdobe Systemsが、企業のリッチビジネスアプリケーション開発支援を目的にSAPとの協業拡張を発表するなど、エンタープライズ市場においても徐々に存在感を増しつつある。

 事実、サンフランシスコで開催された同社のデベロッパーカンファレンス「Adobe MAX 2008」でも、SAPのオフィシャルは、SAP NetWeaver技術プラットフォームを機能拡張し、SAP NetWeaver Web DynproプログラミングモデルのユーザーインタフェースでAdobe FlashやAdobe Flexコンポーネントを利用可能にする計画を明らかにした。こうした動きは、SAPアプリケーションにおけるデータの視覚化を促進し、ビジネスの機敏性を高めることに役立つだろう。

 SAPによると、Web Dynproは同社が開発、拡張するエンタープライズアプリケーション用のユーザーインタフェース開発標準だ。 Adobe FlashおよびFlexコンポーネントがWeb Dynproで利用できるようになれば、SAP開発者は既存のFlexコンポーネントやAdobe Flex Builderで作成した独自のFlexコンポーネントでアプリケーションを拡張することが可能になる。それによって、よりリッチで魅力的なWebエクスペリエンスが生まれ、さまざまな情報が理解しやすくなり、コンテンツをダイナミックに表示できるようになる、とアドビの担当者は説明する。

 「SAP開発者がAdobe Flashプラットフォームを利用すれば、今日のコアエンタープライズビジネスアプリケーションにも大きな可能性がもたらされる」と期待するのは、Adobeのプラットフォームビジネス部門ゼネラルマネージャ兼副社長、デビッド・ワドワニ氏だ。「SAPとの提携によって、ユーザーエクスペリエンスが向上し、クリティカルなビジネスデータをベースに、企業は正確な意思決定を下すことが可能になるだろう」と同氏は語る。

 一方、SAPのグローバルエコシステム&パートナーグループの副社長、サンジェイ・カトヤル氏は、「実績のあるAdobeのアプリケーションインタフェース開発ツールとWeb Dynproの統合化により、SAPはビジネスの機敏性と従業員の生産性を最大化するビジネスアプリケーションの開発に先導的な役割を担う」と自信を示す。

 Adobeの担当者は、「SAPとの提携強化によって、エンタープライズ市場の開発者や顧客との関係はいっそう強固なものになる」と話す。すでに1000社以上のSAPユーザーがAdobeのSAP Interactive Formsソフトウェアを購入し、SAPアプリケーションにフォームベースのプロセスを導入するとともに、生産性を大きく改善しているという。また同社では、「Adobe FlexをSAP NetWeaver Visual Composerツールと統合化することにより、さらにリッチで魅力的なユーザーエクスペリエンスが実現するだろう」としている。

 今回のデベロッパーカンファレンスでは、Salesforce.comのプラットフォーム部門上級副社長、スティーブ・フィッシャー氏もオープニングキーノートで、Adobeがエンタープライズ市場において地歩を固めつつあることを強調、「この20年、エンタープライズソフトウェアはイノベーションのない分野だったが、新しいモデルが登場した。フロントエンドにファンタスティックなエクスペリエンス、そしてバックエンドにサービスとして提供されるプラットフォームを携えて」と語り、Adobeへの強い期待を表明した。

 さらに同氏は、「Flexコントロールをアプリケーションに埋め込むことで、より直感的なユーザーインタフェースを提供することが可能になる」と指摘するとともに、「もしアプリケーション全体をブラウザから取り出したければ、(Adobe)AIRを使えばよい」と語った。

 Adobeのクリエイティブソリューションビジネス事業部上級副社長、ジョン・ロイアコノ氏は、「われわれはLiveCycle Enterprise SuiteとAdobe Connectでエンタープライズ市場に浸透してきた」と述べ、「Acrobatもしばしばエンタプライズクラスの規模で販売してきた。われわれには大企業を相手に数万シート単位で製品を販売する力がある」と強調した。

過去のニュース一覧はこちら

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR