ノートPCが盗難に遭ったり、紛失したりした場合も両技術の組み合わせで対処する。ThinkPadがインターネットに再び接続し、社内ネットワークへの再接続を試みようとした場合、Intelの技術はPCを使用不能にする「ポイズンピル」(毒薬)を送信する。PCが戻ってきた場合は、ユーザーあるいはIT部門は特別なパスワードを使ってノートPCを再起動することができる。
Intelの盗難対策技術は、ノートPCのHDDを暗号化する機能も提供する。
ノートPCがAC電源に接続されていれば、そのPCのOSが無効になったり、PCの電源がオフになったりしても、Intelの盗難対策技術は機能する。ノートPCがバッテリー電源で動作している場合には、ポイズンピルを送信するために、PCが「起きている」状態になっているか、有線/無線LANに接続されている必要がある。
ノートPCがファイアウォールの外側にあっても、有線/無線LANに接続されていればIntelのポイズンピルは機能する。今のところ、同技術は「WWAN」(無線広域ネットワーク)には対応しない。
Intel、Lenovo、Absoluteの技術の組み合わせは、Dellが今年、提供を開始した「ProSupport Mobility Services」に近い。これは企業のノートPCに保存されたデータを保護するためのサービスセットである。その1つの「Remote Data Delete」というサービスも、ノートPCの紛失あるいは盗難の際にHDDのデータを消去するポイズンピルを送信する。
Dellはこれらの新サービスに加え、Ponemon Instituteの調査のスポンサーにもなった。この調査では、米国の空港で毎週、約1万2000台のノートPCが紛失していることが明らかになった。
IDCのアナリスト、リチャード・シム氏によると、IntelやPhoenix Technologies(「FailSafe」製品を提供)など数社のベンダーが、企業のノートPCユーザーの懸念に対処するツールを提供している。ノートPCの普及拡大に伴い、ハードウェアのセキュリティが重要な関心事になってきたという。
「ノートPCのセキュリティは以前から話題にはなっているが、これまで実効性のある対策は見られなかった」とシム氏は指摘する。「しかしここにきて、紛失や盗難時にノートPCへのアクセスを制限する、情報へのアクセスを防止するために暗号化する、あるいはシステム上のデータを消去するといったセキュリティ機能を実現する新技術が現れ始めた」
シム氏によると、こういった技術はデータの盗難を防止するのには有効だが、IT部門はデータをバックアップし、ほかの手段によってそのデータにアクセスする方法を用意する必要があるという。
Intelの盗難対策技術はハードウェアベースだが、それを有効にするにはAbsolute Softwareなどのソフトウェアプロバイダーが必要だ。LenovoはThinkPad T400ノートPC向けにIntelの盗難対策技術に対応したBIOSアップデートを提供する予定だが、IntelとそのOEMパートナー各社は今後、製造プロセスの一部として同技術をノートPCに組み込む計画だ。
Intelの盗難対策技術はLenovoのThinkPadに組み込まれるが、同技術を利用にするにはAbsolute Softwareの有料サービスに加入する必要がある。
Dell、ノートPC向けのセキュリティサービスを提供
Intel、「Centrino 2」をいよいよ発表Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.