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» 2009年01月14日 09時00分 公開

「2009 逆風に立ち向かう企業」NTTデータ:サービスの押し売りや顧客のご用聞きは低次元の営みだ (1/2)

景気悪化に伴い多くの企業がIT投資を抑えようとする中、システムを提供するITベンダーは「ただ単に物を売る」というビジネス構造から脱却を図る必要がある。「システムインテグレーターの枠を超える」と標榜するNTTデータの荒田和之取締役常務執行役員に、ユーザー企業の動向を振り返ってもらった。

[聞き手:藤村能光,ITmedia]

 金融不安による景気の悪化が表面化し、企業はITへの投資を抑制する傾向にある。NTTデータはこうした景況を早期にとらえ、システム開発という本流を超えたシステムインテグレーターに生まれ変わろうとしている。「サービスの押し売りや顧客のご用聞きではいけない」と兜の緒を締める取締役常務執行役員を務める法人分野担当の荒田和之氏に、ユーザー企業の動向やシステムインテグレーターの今後を語ってもらった。

image 取締役常務執行役員 法人分野担当の荒田和之氏

ITmedia 金融不安による景気の悪化が表面化した2008年、ユーザー企業のIT投資動向に変化は見られましたか。

荒田 10月ごろに、自動車やエレクトロニクス関連の製造業を中心に、新規のIT投資を先送りする傾向が見受けられました。システム投資の減速には遅効性があるものの、下期以降の受注高は減少する見通しです。2009年はIT投資に対して別の業種でも同様の動きが散見されるでしょう。いっそう厳しい局面を迎えると見ています。

 こうした向かい風の中、企業ではこれまで以上にITの投資対効果が問われるようになります。ですが、投資対効果は定量的に推し量りにくい面があります。そのため、経営判断を定性的に判断することを強化する必要が出てくるでしょう。この判断ができる企業はまだ多くない印象を受けます。

 内部統制への対応など、企業はITに力を入れざるをえない状況です。グローバル化の流れも押し寄せてきます。こうした時にこそ、企業は足元を見つめて、経営に必要なものとそうでないものを取捨選択し、メリハリをつけたIT投資をするべきです。グローバルスタンダードという言葉を多くの企業が標榜していますが、それを鵜呑みにする必要はありません。

ITmedia こうした変化の中、ユーザー企業がシステムインテグレーターに求める役割も変わってくるのでは。

荒田 システムインテグレーターが今後どういった方向に向かうかという議論はとても重要です。現在のシステム構築に対するユーザー企業の立場は、IT機器や性能、運用の支援までを1つのシステムインテグレーターにゆだねる「オールインワン」型を採用する場合と、ハードウェアやソフトウェア、プログラムの購入や支援を個別に委託する「分業」のようなシステム構築を取る場合に分かれます。

 情報システムは、ハードウェアやソフトウェアが組み合わさって、1つの仕組みとして機能します。別々に購入して組み立てると、いざトラブルが起こったときに対応するのは難しい。例えば、すべての部品や機能が備わった自動車を1つのサービスとして購入するのが一般的で、エンジンやシャーシを個別に購入して組み立てる人はほとんどいません。

 システムがオープン化し、情報システムは日増しに複雑で難解なものになっています。こうした背景の中、ユーザー企業はシステムインテグレーターに対する位置付けを見直し、システム構築の手法をよく吟味する必要があると言えます。トラブル対応をシステムインテグレーターに丸投げするのではなく、即座に対応できるエンドユーザーの人材を確保することも必要でしょう。初期投資のコストだけでなく、運用に掛かるコストまでを十分に意識することも強調しておきたいです。

ITmedia NTTデータは「システムインテグレーターの枠を超える」と宣言しています。システム開発だけにとどまらないビジネスを展開するということでしょうか。

荒田 これまでITベンダーはソフトウェアを作り、それを売るという役回りにとどまっていました。しかしユーザー企業はそれを求めていません。ソフトウェアを押し売りするだけでは、ユーザー企業はコストの安い方に流れてしまいます。ソリューションを売り込んで終わりという発想は時代遅れですし、顧客のご用聞きにおさまる営業は一番次元が低い営みと考えています。

 ITが経営に占める割合は年々高まり、顧客企業の中でもITに対する位置付けが変化しています。そうした中、情報システム部門と限定してつきあいをしていればいいという考えでは立ちゆかなくなっています。経営部門や営業部門など、社内のエンドユーザーと接点を持って課題を解決すること、すなわち「ITパートナー」としての立場を強めることが必要です。IT関連の業務に長けていない企業にとって、アドバイザーの存在は必須なのですから。今後はユーザー企業の「相談相手」として、経営をITで変革する手助けができればと考えています。

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