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» 2009年01月16日 08時00分 公開

「2009 逆風に立ち向かう企業」ガートナージャパン:「私はCIO」と宣言するトップに期待 (1/2)

ガートナージャパンの日高社長は自らをCIOとするパナソニックの中村邦夫会長を引き合いに出し、ITを重要な戦力として位置づける経営者が求められると強調する。

[聞き手:怒賀新也,ITmedia]

 「パナソニックの中村邦夫会長は“わたしはCIOだ”と宣言している。こんな人に期待したい」

 ガートナージャパンの日高信彦社長は話す。世界的な不況の中、円高を背景に日本企業が世界の企業を買収する動きも加速しているとの話題について「日本人の視野の広さを生かせば海外企業を傘下に収めてもうまくいく」と指摘する。経営におけるCIO(最高情報責任者)の重要性を強調する日高氏に、2008年を振り返り、2009年を展望してもらった。

「日本企業の強みは思いやり経営の実践にある」と話す日高氏

ITmedia 2008年はどんな年でしたか?

日高 ガートナーの調査で2008年のメッセージは当初「攻めの年」でした。実際に、IT投資は微増ながら06年から増加傾向にありましたが、米Lehman Brothers破綻から急に流れが変わりました。2009年はマイナス成長が予測されます。この状況で攻めから、守りに移るのは仕方がないともいえます。IT投資は急務の問題のみに向かい、教育やITスキルにまで回すのは難しいかもしれません。

 2009年はコスト削減の年になるでしょう。ただし、ITコストの下がり方は数%であり、金融など他のセクターと比べればまだましともいえます。ただのカットではなく、スリム化を経て生産性を向上させるなど、IT部門を会社の中心的存在にするためのチャンスと考えるべきでしょう。グローバル企業なら、本社のシステムに海外法人のシステムを合わせ、将来的にビジネスを拡大するための基礎作りができます。

 ますます重要な役割を担うのがCIOです。経営者が情報システムを軽視できないのはもはや言うまでもありません。自分をCIOだと話すパナソニック・中村会長は、ハーバードビジネスレビューに日本の製造業に関する論文を自ら執筆しています。そのほかにも、日本企業には情報システムを正確に理解するトップが増えています。三菱東京UFJ、ニチレイ、味の素などもそうです。

 良いCIOの条件は、ITの話を経営用語で話し、ビジネスメリットを具体的に示せることにあります。技術用語を使わないで説明できなくてはなりません。「新しいアプリケーションを使うことで、コストが○%削減でき、○といったリターンがある」とエンドユーザーに告知することで、苦労して構築した新しい情報システムが広く使われるのです。その意味では、IT部門が苦労して構築した新システムを、社内に浸透させるCRM(顧客関係管理)の役割もCIOにはあります。これからは、いろいろな部門を経験し、業務を知っていることがCIOには求められるかもしれません。

ITmedia 不況の悪影響が取りざたされる一方で、日本企業による海外企業の買収が前年比で3倍近くも増えているとの数字があります。もし欧米など海外企業と合併し、情報システム部門を統合しなくてはいけないときにはどうしたらいいでしょうか。

日高 M&Aによるシステム統合の典型的な手法はいわゆる「片寄せ」です。どちらかの企業のシステムに全体を合わせ、他方のものは捨てます。ただし、伝統的な会社などの場合は特に、既存のアプリケーションが既に陳腐化していることがあります。エンタープライズアーキテクチャなどでモデル化した上で、新アプリケーションを構築する方法も選択肢として持つべきです。SEだけでなく、システムの構造を考えるアーキテテクトの存在がカギを握ります。

 文化面の統合も課題です。よく米国人はイエスとノーをはっきり言うなどと指摘しますが、実際には相手に簡単にノーをつきつけると傷つくというのは日本人と同じです。こうした場面にぶつかった時、相手のアイデアの良い部分は認めてあげるという思いやりが重要です。合併先企業との交流が大切である点も変わりません。飲み会を開いて語り合うのも、良いパートナー関係を築くための非常に有効な手段です。

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