年初めということで、新年のあいさつを投稿したオルタナブロガーが多かった。中には、妹尾高史氏「抱き込め!ユーザー、巻き込め!デベロッパー」に投稿された2008年さようなら!2009年こんにちは!のように、大みそかの夜から年明けにかけて書いたエントリーをアップしたブロガーもいる。2008年のまとめと、2009年の目標や決意を書いているブロガーが多いが、中には「2009年はこうなる」という予想をしたブロガーもいる。
まず、谷川耕一氏「むささびの視線」の来年のキーワードはエコ(12/31投稿)を取り上げておきたい。2009年のキーワードは“エコ”になると指摘しているのだ。
ほかのオルタナブロガーは2009年をどう予想したのか見ていただきたい。
それぞれの立場から、2009年がどうなっていくのかを予想していて興味深い。なお林雅之氏「『ビジネス2.0』の視点」は、この後も続けているのであわせて読んでほしい。
注目点となるのは、複数のオルタナブロガーが触れている、クラウド、SaaSの行方だ。奥野栄倫氏は、SaaSであまり語られないことの中で、IT業界のキーワードとしては影が薄くなっていくと予想。その代わり、ユーザー側の本格導入が進んでいくのでは? という。SaaSについては、加藤和幸氏「てくてくテクネコ」のSaaSと神社のお札の共通点で、SaaSの仕組み自体は古くからあるものと指摘。その上で、今年もITの流行語は出てくると思うが、目先の新しさに振り回されないようにしたいとまとめている。確かに2008年は、いささか言葉に躍らされていた感は否めない。
ユニークな新商品を紹介しているのが、工藤拓也氏「一人シリコンバレー男」のこれがほんとの「スパムロボ?」嘘です、いいやつです「ネットタンサーウェブ」。今後の動向次第では、2009年をリードするものに化けるかもしれない。注目だ。
年末年始は、企業などが発行するメールマガジンで「ごあいさつ」が飛び交う。しかし、このメルマガに関して、加藤恭子氏「きょこ コーリング」の自分から敢えて見込み客の創出を妨げていませんか?では、実に考えさせられる指摘をしている。メルマガマーケティングを行っている企業担当者は、一読されることをオススメする。
メールは実に便利だが、セキュリティ的にはどうだろうかということを再確認させられたのが、小俣光之氏「プログラマー社長のブログ」のメールセキュリティだ。
新倉茂彦氏「新倉茂彦の情報セキュリティAtoZ」のIPAでも情報漏洩ですか・・・あぁ情けない!じゃあ問題は何だったのか?でも紹介されているように、年明け早々、複数の情報流出事件が報道された。これらの多くはファイル共有ソフトからのものだったが、より簡単に利用しているメールも情報漏えいの脅威にもなりうる。小俣光之氏のエントリーにあるように、セキュリティ意識の向上と対策は必須かもしれない。
まもなく、アメリカでは初の黒人大統領が誕生する。だが、これでアメリカから発生した世界同時不況が沈静化するかというと、そうはいかないだろう。玉川岳郎氏「ニュータイプになろう!」の【貧困大国アメリカ】オバマ政権誕生前に考えてみた。では、アメリカそのものの問題点を考察。オバマ政権がどうするべきなのかを指摘している。
そのアメリカでは、ブタの貯金箱が爆発的に売れたということが、久野麻美子氏「ポジティブ果実のなる木」のアメリカ人もタンス預金で紹介された。銀行などが信用できないということの現れだろうか。そして、佐川明美氏「佐川明美の「シアトルより愛を込めて」」の時間単位で車を貸します:Zipcarでは、レンタカーの時間貸しが広がっているという。日本でもカーシェアリングが広がりつつあるが、アメリカでもマイカー時代は終わりを告げようとしているのだろうか。
日本でも、この不景気の中レンタカー業界が繁盛しているということが、中村昭典氏「中村昭典の、気ままな数値解析」の【500万台】 新年早々景気のいい話〜新車が売れない恩恵で予約が殺到する店で紹介された。自動車メーカーでは、佐々木康彦氏「平凡でもフルーツでもなく、、、」のトヨタが広告効果が無ければ無料CMを放送させる契約を結んだらしい!?にあるように、広告費の削減にも励むくらい厳しい状況が続いているが、アメリカ同様、マイカーを持たずに借りてすますユーザーが増えているようだ。また、昨年後半からのガソリン価格の急落も、それに拍車をかけたのかもしれない。
自動車業界などの製造業では、「派遣切り」が話題となった。川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」の年越し派遣村についてでも取り上げられた現状は、厳しいものを感じさせられた。コメントにもあるように、困っているのは派遣社員だけでないのも確かだ。つまり、これは氷山の一角にすぎない。そういう意味では、北添裕己氏「トラパパ@TORAPAPA」の派遣労働の禁止は労働者を本当に幸せにできるのかで指摘されるように、単純な法改正は、より労働者を苦しめることになるかもしれない。また筆者は、企業と派遣社員の間にある“派遣会社”の責任についてあまり論じられていないことにも、疑問を感じるのだ。竹内義晴氏「竹内義晴の、しごとのみらい」のアウトソーシングから垂直統合へにあるように、社員を財産としてくれる会社が増えることを祈るばかりだ。
そして、その通りとうなずいてしまったのが、谷誠之氏「谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」」の色々な側面からものをみよう。ぜひ、多くの読者に読んでほしい。そして、マスコミもこの不況に関して、いろいろな側面を報じてほしいと感じた。小本恭氏「小本 恭の「IT広報室の雑記帳」」の2009年が始まりましたにあるように、不況一色の報道で、世の中が萎縮してしまっている部分もあるのだから。
また現在、国会では予算案が審議されているが(本稿執筆時点では空転しているようだ)、それを見ていくに当たって参考になるのが、川上暁生氏の日本の財政を考えるだ。ここで紹介されているのは財務省が作成したWebサイトなので、予算案を正当化するための仕掛けがあるかもしれないが、参考になることは間違いない。ただ漫然とニュースを見るのではなく、注視していくことが、次の選挙などへつながることになる。
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