ブレードサーバにはいくつかの特徴がある。その特徴を把握しなければせっかくの投資が無駄になることにもなりかねない。現場での実際の構築やコンサルティングに携わるSIerの声を聞きながら、将来を見据えた導入方法を考えよう。
ブレードサーバはここ数年さまざまな製品が出揃い、製品の選択の幅も広がりつつある。ブレードサーバの導入を検討している企業も少なくないと思われるが、ここでブレードサーバについてよく言われる特徴を改めてまとめてみよう。
これらのメリット・デメリットについて、大手システムインテグレータの声を聞きながら考えていきたい。
一口にブレードサーバといっても、大きく分けて2つの種類がある。1つは運用管理のためのソフトウェアを搭載し、各ブレードの管理や切り替えなど多様な機能を備えたモデル。一方は、サーバの物理的な集約に主眼を置く、機能をシンプルにしぼったタイプだ。
NTTデータ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第二技術統括部長の吉田佐智男氏は次のように説明する。
「これらの2種類は異なる設計思想のもとに作られています。そのため、どちらがいい悪いという優劣があるものではありません。例えば、負荷分散を別のところで管理している場合は、ブレード側に余分なものが付いていないほうが良いということも考えられます」
ブレードサーバのメリットとして、管理のしやすさ・運用管理ソフトウェアの充実が挙げられることあるが、すべてのモデルがそれをブレードサーバ単体で実現できるというわけではない。障害時の切り替え制御など、ブレードサーバ自体で対応できるものもあれば、何もしてくれないモデルもある。当然、上記の機能を備えたものは価格も高くなる。また、運用管理機能を持ったモデルを採用した場合はその機能を司るソフトウェアの保守・管理も必要になり、さらにコストもかかってくる。製品の選定には注意が必要だ。
今一度、原点に立ち返ってブレードサーバを選ぶ理由を考えてみよう。伊藤忠テクノソリューションズの杉田修一郎氏は「ブレードサーバだから」という理由だけから得られるメリットはほとんどないと言う。しかしながら“集約率”という観点から考えると、ブレードサーバは注目すべきソリューションと言える。
「仮想化が論理的な集約を実現するものだとすれば、ブレードサーバはそれと対をなす、物理的な集約を行うものと捉えられます。仮想化もブレードサーバも、その導入の理由はシステムの統合となるでしょう。“統合”がブレードサーバ導入のトリガーになるのです」(伊藤忠テクノソリューションズ 杉田氏)
野村総合研究所が2008年に行った「企業情報システムとITキーワードに関する調査」でも、ブレードサーバ選定時に重視する点として、1位に「省スペース・高密度」が挙げられている。ブレードサーバのメリットはいくつかあるが、まず押さえるべきポイントとして「集約・統合」があることを再確認したい。
算出母数(N)=225 | 回答数 | % |
---|---|---|
省スペース・高密度 | 157 | 69.8 |
運用管理の容易さ | 131 | 58.2 |
障害対応の容易性 | 106 | 47.1 |
高可用性 | 98 | 43.6 |
省電力 | 83 | 36.9 |
ブレードの互換性 | 58 | 25.8 |
SANブートへの対応 | 34 | 15.1 |
ネットワークの仮想化への対応 | 30 | 13.3 |
その他 | 9 | 4.0 |
無回答 | 1 | 0.4 |
物理的な集約という点では、ブレードは当然そのメリットを生かすことができる。単位面積あたりの集約率では、通常のラック型に比べて大きなアドバンテージがある。だが、さらなる利点は同じハードウェアが集約されることで管理性が向上することだ。
同じハードウェアで構成されていればハードウェアの違いを考慮する必要がなくなる。例えばキャパシティマネジメントを行う場合にアプリケーションの負荷のみを考えれば良いので、ブレードサーバの優位性を発揮できるというわけだ。
また、電源やファンなどを共有化できることも利点の1つだ。これまで各サーバごとに設置されていた部分を1つにまとめることでエネルギー効率は上昇し、保守の手間も削減できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.