“MSの中の人”がホンネで語る――Tech Fieldersの集い主役はITエンジニア(1/2 ページ)

3連休初日となる3月20日、新宿のマイクロソフトオフィスにITエンジニアとMSの中の人が参集し、ホンネをぶつけ合った――。

» 2009年03月23日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

 日本時間3月20日午前10時――ワールドベースボールクラシックの日韓戦が開始されるのとほぼ同時刻、新宿のマイクロソフトオフィスではチーム「Tech Fielders(テック フィールダーズ)」の集いに“プレイボール”がコールされた。


 Tech Fieldersは「現場ITエンジニアのためのチームであり、情報発信、共有のフィールド。複数分野のIT専門知識を持つマイクロソフトエバンジェリストを中心に、現場で活躍しているITエンジニアとともにマイクロソフト製品、テクノロジーの今、そしてこれからを伝えていく」と位置づけられたマイクロソフトによる施策。国内約200万人といわれる、ITの開発から、導入構築、保守運用までを行うITプロフェッショナルおよびデベロッパーを対象に、Webサイトを通じた情報発信に加え、技術情報を共有するためのオフラインセミナーなどを開催してきた。ただし今回実施された「第1回 Tech Fieldersの集い」は、特定の技術や製品によった内容のセミナーではない。普段は公の場に出る機会の少ないマイクロソフトのコンサルタント、開発エンジニア、そしてサポートやセールス担当者が、参集したエンジニアに対しホンネを直接伝える場である。祝日開催ということもあり、肩に力が入ったところのない、カジュアルな雰囲気での進行となった。

Tech Fielders開催までの経緯(写真=左、クリックで拡大)と、オープニングで挨拶を務めたマイクロソフト ITエンジニアテクノロジー推進本部の森田益成本部長(写真=中)およびブロードエバンジェリズムグループの長坂一則部長(写真=右)。「技術情報を検索すると、そこに表示される情報はすでに、マイクロソフトオフィシャルのものよりもブログなどを通じた情報のほうが多い。“マイクロソフトの公式情報か非公式情報か”ということにこだわっていたら、ユーザーを満足させられるだけの情報提供は難しい。Tech Fieldersの取り組みでは、これまでよりも情報の“敷居”を下げて発信していく。そしてユーザーに満足してもらうことを最大の目標とし、製品の拡販にはこだわらない」と長坂氏は意気込みを話す。「この“集い”も年に2回はやります! がんばって4回にするかも……」(長坂氏)

マイクロソフトコンサルタントは「川口浩探検隊のスタッフ」

 オープニングに続いて登壇したのは、マイクロソフトコンサルティングサービス(MCS)に所属する待鳥博志と佐々木邦暢氏。待鳥氏はMCSの役割を「マイクロソフトの製品仕様とユーザー要件との間に存在するギャップを埋める存在」と話す。そのため、一般的なコンサルタントが要件定義から設計までを主な守備範囲とするのに対し、MCSのスタッフはテストおよび構築までを担うことが多いのだという。

 例えばID管理(認証基盤)を構築したいというユーザーがいたとする。人事部門からは「同時期に複数の部署へ所属させたい(異動の前後日数にそれぞれバッファを持たせたい)」、「入社情報は先に登録しておきたい(事前登録し、入社と同時に発令)」、「退職者のアカウントを一定期間有効にしておきたい(30日間ログインしなければ削除、など)」といった要望が多いのだという。しかし待鳥氏は「当然のニーズだが、こういった機能を標準で備えた製品は、マイクロソフトか否かを問わず、現状ない」と紹介する。このような場合、「仕様とニーズ」の間を取り持ち、実装させるのがMCSの使命だという。

「自分たちは、システム構築という暗く深い洞窟を“川口浩探検隊”が進むにあたり、その先払いをする製作スタッフのようなもの」とMCSの待鳥氏(写真=左)、MCSの守備範囲は構築までおよぶ(写真=右、クリックで拡大)

あまり模範的でない? マイクロソフトコンサルタント

 佐々木氏のセッションでは、のっけから「あまり模範的でないコンサルタントによるMCSの紹介」とのタイトルが表示され、来場者の意表を突く。1974年生まれ、と自己紹介した佐々木氏は、自信の得意分野を「UNIX、Java、Perl、そしてそれらによる大規模Webシステム構築」と話す。90%以上が転職組、というMCSスタッフの傾向どおり、佐々木氏もマイクロソフトには中途入社したというが、その得意分野からも察しがつくように「前職にいた若いころはバリバリのアンチMSでならした。ちくしょーむかつくなー、みたいな」(場内:笑)のだという。

 だが「どうせクライアントは大体Windowsなんだし、サーバもWindowsにすると楽なはず」という考えのもと、マイクロソフトへ入社。当時のアンチMS仲間からは「おおいに不評を買った」と話す(場内:爆笑)。マイクロソフトへの入社に際しては「WinFXって、すごいんじゃないか?」という動機があったというが「実際は、それほどでもなかった」(場内:笑)。「でもHyper-Vはすごいですよ」(佐々木氏は現在、仮想化を主な領域としている)。

 アンチMS、という自身の来歴を語った佐々木氏だが、「世の中、なにか一色に染まる、ということはない。ユーザー企業の環境も混在が当たり前。自分は、例えばUNIXとWindows、Javaと.NETの間をつなぐ“架け橋”になることを意識している」と話す。「MCSは、社内の英知を結集してユーザーに対しハイレベルなサービスを提供できる職場。US本社の“ミッションクリティカル野郎”と会話すると本当にすごい。その内容を、現場を通じてユーザーに返したい」と佐々木氏は意気込む。自身を「現場好き」と称する佐々木氏は、当日も自身のセッション終了後、ユーザー企業のもとへ行くのだという。

「今日のスライドは“高橋メソッド”で作りました。なぜなら絵が得意ではないので」と佐々木氏(写真=左)、佐々木氏の挙げる「架け橋」の例(写真=右、クリックで拡大)
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