HPなどが開発を検討しているというAndroid搭載ネットブック。実現すれば、PC市場のビジネスモデルを大きく変える商材になるかもしれない。
Wall Street Journalが先週31日(米国時間)、米Hewlett-Packard(HP)が米Googleのモバイル向けOS「Android」を採用したネットブック(ミニノートPC)の開発を検討していると報じた。HPの幹部が語ったもので、販売の計画については言及を避けたという。
Android搭載ネットブックをめぐっては、ネットブック市場を切り開いた台湾のASUSTeK Computerがいち早く開発を示唆しており、同社とともにPCの世界市場で最大手のHPが商品化すれば、市場に新たな旋風が巻き起こるだろう。
Android搭載ネットブックが注目される理由は、ひとえにさらなる低価格化である。LinuxベースのOSであるAndroidには、PCの主流OSであるMicrosoft Windowsのようなライセンス料金が発生しないのがその根拠だ。
また、Androidは携帯電話などモバイル端末の開発プラットフォームとして、携帯電話メーカーやソフト開発者がこの開発環境を無償で利用することができる。
そのAndroidを提供するGoogleは、そうした開発者に必要なミドルウェアやアプリケーションを用意している。さらにアプリケーションに関しては、Linuxベースの幅広いオープンソースソフトに加え、GoogleのWebブラウザ「Chrome」やさまざまなWebベースのソフトも利用できるようになると期待されている。
では、Android搭載ネットブックが登場すれば、実際にどれくらい価格が下がりそうなのか。昨年、ネットブックは500ドル(日本でいえば5万円)を目安とした低価格が注目され、一気にブレークした。その目安となる価格が、200ドル前後まで引き下がるのではないかとの業界関係者の見方もある。
OSをめぐるMicrosoftとGoogleの戦いを背景に一層低価格化が進みそうなネットブック市場だが、Android搭載製品が受け入れられるようになってくると、PC市場のビジネスモデルそのものに影響が出てくるのではないだろうか。
筆者がそう考えたのは、昨年秋に家電量販店の店頭で見た商品がきっかけだ。それは、ネットブックとイー・モバイルなどの携帯端末およびサービス加入権をセットにして、インセンティブ制度の報奨金を値引きに反映させることにより、初期購入価格を安く抑えたパッケージ商品だった。つまり、PCではなく携帯電話のビジネスモデルを適用したものだ。
さらに低価格なAndroid搭載ネットブックなら、そうしたビジネスモデルの転換は、より効果を発揮する。そこに加えて、さらに新たな領域のビジネスモデルが乗ってくる可能性がある。クラウドサービスである。
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