海外勢がリードするクラウドコンピューティングのサービス提供だが、日本も総務省をはじめ国がクラウドによる産業基盤活性化に向け本格的に動き出している。
林雅之氏の過去の記事はこちらです。
クラウドコンピューティングにおいては、Google、Salesforce.com、Amazonなど海外勢のIT企業がリードする流れがある。一方、日本においてもクラウドコンピューティングへの取り組みが動き始めている。景気低迷が続く中で、日本政府もクラウドコンピューティングが日本の経済成長をけん引し、未来の成長力強化につながるIT産業の重要な基盤になるとして位置付けている。
総務省は、3月17日、「ICTビジョン懇談会」の緊急提言「ICTニューディール」(平成21年2月23日)などを踏まえ、当面3カ年に集中的に実施すべき施策として「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)‐骨子‐」の取りまとめを公表した。ICT鳩山プランでは、ICTを新たな成長戦略の柱とし、関連する設備投資を促進することによって、今後3年間(累計ベース)で数兆円規模の市場を創出し、30〜40万人の雇用創出を実現することを目指している。中長期的には、2015年の時点で最大約100兆円の新たな市場の創出を目指している。
ICT鳩山プランの中では、クラウドというキーワードが随所に盛り込まれている。次世代クラウドネットワーキング技術の開発においては、クラウドサービスをNGN(次世代ネットワーク)上で安心して利用できるプロトコルの開発やクラウド間連携を実現するプラットフォームの開発などが盛り込まれている。クラウドサービスへのアクセスの中心はインターネット経由だが、NGNなど信頼性が高くかつセキュアとされるネットワークからアクセスできるようになれば、その利用範囲の裾野が広がることが期待される。
注目されるのは「霞が関クラウド(仮称)」だ。日本のICT利用を加速化させるためには、政府自らが率先して取り組み、革新的電子政府の実現を目指しており、そのためには、関係府省が連携してハードウエアの統合・集約や共通機能のプラットフォーム化の実現を目指している。
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