「ウイルス対策ソフトは万能」という神話を改めよう会社に潜む情報セキュリティの落とし穴(3/3 ページ)

» 2009年07月07日 07時30分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

初心者向けウイルス対策の原則

 ウイルス対策を行う上で、PC初心者には特に注意してほしいポイントが幾つかあります。まず、PC購入したらすぐにインターネットへ接続するのは避けましょう。最初にバンドルされた製品でもいいので、ウイルス対策ソフトをインストールし、パターンファイルなどを最新版にアップデートしてからインターネットを楽しむようにしてください。一番危険なのは、購入したばかりのPCであるという認識を持っていただきたいと思います。

 実際にあったケースでもありますが、ウイルス対策ソフトは購入してインストールしただけではいけません。当たり前ですが自動アップデートを有効にして、OSのパッチ適用も自動化するなどの準備が必要です。また、通常は購入してから使用できる期間が1年しかありません。更新時期にはアラームなどで通知されるので、きちんと契約を更新しなければなりません。

 また、しばしば受ける相談の中に「バンドルされているウイルス対策ソフトをきちんとインストールしたが、心配なので別のウイルス対策ソフトをインストールしたほうがいいか」という人がいます。これは絶対に避けることです。ウイルス対策ソフトは、OSが起動する前にメモリ内のチェックをするなど、特権命令を駆使するプログラムであり、2種類の対策ソフトを使うことは、言わば猿山にボス猿を2匹飼うようなものです。徐々に「喧嘩」(リソースの競合)が大きくなり、ある日突然ブルー画面になって二度と起動できなくなることもありますので、絶対にやめましょう。

 ただし、きちんと操作の切り分けができる中級者以上なら、スパイウェア専用の対策ソフトを併用しても快適にPCを操作できるでしょう。一部例外もありますが、インターネットなどで相性を確認し、ユーザー自身の安全性を高めるならそれに越したことはありません。一度チャレンジしてみることもお勧めします。

 このほかにもインターネットにはさまざまな評価機関のデータが掲載されています。ぜひ自身で確認し、安全性向上に役立てていただきたいと思います。最近ではウイルスの亜種が異常なスピードで発生し、対策ソフトがほとんど効かない耐性の強いもの登場し始めていると言われることから、今までの対策が限界に近づいているのかもしれません。

 それでも現状では基本に忠実に、そして地道に根気強く対応していくのが確実な対策だとも言えるでしょう。セキュリティに近道はなく、できるところから少しずつ対応していただきたいと思います。

過去のセキュリティニュース一覧はこちら

萩原栄幸

株式会社ピーシーキッド上席研究員、一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、日本セキュリティ・マネジメント学会理事、ネット情報セキュリティ研究会技術調査部長、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、情報セキュリティに悩む個人や企業からの相談を受ける「情報セキュリティ110番」を運営。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。


過去の連載記事一覧はこちらから


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ