MSとNokiaの提携は「Office Mobile」改良のチャンスGoogle Docsに負けない機敏さを(1/2 ページ)

競争の激しいビジネス向けモバイル市場でシェアを確保したいなら、この機会にOffice Mobileの機能を向上させるべきだ。

» 2009年08月13日 15時44分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftとNokiaが8月12日、Symbian OSにMicrosoftの「Office Mobile」アプリケーションを移植するという提携を発表したとき、真っ先にわたしの頭に浮かんだのは、「この提携はうまくいくのだろうか」という疑問だった。Office MobileのSymbianバージョンをビジネスユーザー向けに設計するという話を聞いて、わたしの疑念はさらに強まった。MicrosoftのOffice Mobileアプリケーションは、非常に競争の激しい市場に参入しようとしているのだ。Office Mobileは広く認知された製品ではあるが、携帯端末へのインプリメンテーションは魅力に欠ける。

 Office Mobileを使ったわたしの経験からいえば、このアプリケーションは大したメリットを提供していない。Windows Mobile搭載デバイス上では、ドキュメントが非常に読みづらいのだ。多くのWindows Mobile搭載携帯電話で採用されている小さい画面サイズのせいで、ちょっとしたドキュメントの作成でも、画面を上下左右にスクロールしなければならない。

 編集作業はさらに厄介だ。文字を入力するのは簡単だが、目的の個所に移動する、文字をカット&ペーストする、フォーマットを整えるといった作業はうんざりする。表計算ドキュメントも扱いにくい。また、ほとんどのWindows Mobile搭載スマートフォンはプレゼンテーションに必要なパワーを備えていないため、Office Mobileをプレゼンテーション用途で使うのはほとんど時間の無駄だ。

 とはいえ、ドキュメントを顧客に送信する前に簡単な修正を行うといった用途では、Office Mobileが重宝することもある。スマートフォンでドキュメントを読むことができるだけでは不十分だからだ。ドキュメントを編集する機能が不可欠なのだ。これは、数々の問題を抱えながらも、Office Mobileがある程度の価値を提供する最大の理由の1つだ。

 しかし、Office Mobileはもっと大きな価値を提供できるはずだ。GoogleやResearch In Motion(RIM)がモバイル市場のシェア獲得に動き始めた今、Office Mobileは早急に利用価値を高める必要がある。

Google追撃に向けて

 MicrosoftはOffice Mobileの改良を進めるに当たり、Googleを意識する必要がある。「Google Docs」を最初に発表して以来、Googleが証明したように、カギとなるのはシンプルさだ。高度な機能を必要とする企業では、Google Docsはデスクトップ用Officeに太刀打ちできないが、モバイル化したワーカーが求めているのはGoogle Docsのようなシンプルさだ。

 Office Mobileの問題は、Microsoftがあまりにも多くの機能を提供しようとしていることにある。ドキュメントがデスクトップ上で作成された場合、モバイルアプリケーションではそのドキュメントの多くの要素を操作できないことがある。しかしそれで困る人がいるだろうか。

 Office Mobileアプリケーションのユーザーのほとんどは、ノートPCでするような作業をしようとは思っていない。ドキュメントを少し修正するための基本的な操作が実行できればいいのだ。彼らは本格的なアプリケーションを求めているのではない。それよりも、携帯端末では使い勝手の方を重視しているのだ。

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