メーリングリストを120%活用するテクニックオープンソースソフトウェアの育て方(3/5 ページ)

» 2009年09月01日 00時01分 公開
[Karl Fogel, ]

識別しやすいヘッダ

 メーリングリストの参加者の中には、メーリングリストに投稿されたメールを別のフォルダに分けて管理したいと考える人もいることでしょう。メールソフトの多くは、ヘッダの内容によって自動的にメールを仕分ける機能を持っています。ヘッダとはメールの先頭にあるフィールドのことで、送信者や受信者、件名、日付、その他メッセージにかんするさまざまな情報を保持しています。以下に挙げるヘッダはよく知られているものであり、事実上必須であるといえます。

From: ...

To: ...

Subject: ...

Date: ...


 そのほかにも標準的なヘッダはありますが、これらは省略してもかまいません。例えば、

Reply-to: sender@email.address.here


 ヘッダは省略することもできます。しかし大半のメッセージにはこのヘッダがついています。なぜなら、これを使用すると送信元のアドレスを確実に知ることができるからです(普段メールを受け取っているアドレス以外からメールを送信する場合などに特に便利です)。

 メールソフトの中には、Subjectヘッダの内容を基にした簡単な仕分け機能を持っているものもあります。このようなソフトを使っている人たちからは、メールの件名の先頭に自動的にプレフィックスをつけてほしいという要望があるかもしれません。それを利用すれば、簡単に仕分けを行えるからです。どういうことかというと、次のような件名のメール

Subject: Making the 2.5 release.


が投稿されたときに、実際にメーリングリストに配信されるメールは次のようになるということです。

Subject: [discuss@lists.example.org] Making the 2.5 release.


 多くのメーリングリスト管理用ソフトウェアにはこの機能がついていますが、このオプションは使わないことをお勧めします。このオプションによって解決できるであろう問題は、もっと控えめな方法で解決できるものです。一方、件名欄が無意味に長くなってしまう点は無視できません。メーリングリストに慣れたユーザーは、まずその日にやってきたメールの件名をざっと眺め、どれを読んでどれに返信するのかを判断するのです。件名の先頭にメーリングリストの名前をつけてしまうと、件名の後半が画面からはみ出てしまい、見えなくなってしまいます。どのメールを処理するのかを決めるための情報が少なくなってしまうわけで、結果としてメーリングリストの使い勝手が悪くなってしまいます。

 Subjectヘッダに手を加えるのではなく、もっと別の方法で仕分けをする方法を教えてあげるようにしましょう。例えばToヘッダなどがお勧めです。これはメーリングリスト名そのものとなっています。

To: <discuss@lists.example.org>


 Subjectによる仕分けができるメールソフトなら、まず間違いなくToによる仕分けもできるはずです。

 これ以外にも必須ではないけれどメーリングリストではよく使われているヘッダが幾つかあります。これらのヘッダを基にして仕分けをした方が、“To”や“Cc”に頼るよりも確実です。以下のようなヘッダはメーリングリスト管理ソフトウェアが直接追加するので、これを使用した仕分けをしている人もいることでしょう。

list-help: <mailto:discuss-help@lists.example.org>

list-unsubscribe: <mailto:discuss-unsubscribe@lists.example.org>

list-post: <mailto:discuss@lists.example.org>

Delivered-To: mailing list discuss@lists.example.org

Mailing-List: contact discuss-help@lists.example.org; run by ezmlm


 これらのヘッダは、それぞれ文字通りの意味を持っています。詳しくはこちらをご覧ください。あるいはもっと詳しい厳密な仕様が知りたいのなら、RFC2369を見るといいでしょう。

 これらのヘッダを見ると、“list”というメーリングリストの管理用アドレスとして“list-help”と“list-unsubscribe”があることが何となく分かるでしょう。これらに加えて、通常は参加用のアドレスとして“list-subscribe”、管理者への連絡用アドレスとして“list-owner”があるようです。使用するソフトウェアによっては、これら以外にもさまざまな管理用アドレスが設定されるかもしれません。詳細はドキュメントを参照してください。

 通常、これらの特別なアドレスの一覧は、メーリングリストへの参加時に自動送信される「ようこそ」メールにまとめられています。あなた自身もこのメールの内容を見ることができるでしょうが、もし見られないなら、メーリングリストのメンバーの誰かに見せてもらってください。この「ようこそ」メールの内容は、常に手元に置いておきましょう。メーリングリストの使い方にかんする問い合わせに答えたり、Webページに情報を載せたりする際に役立ちます。メーリングリストのメンバーから「退会するにはどうしたらいいのですか?」という質問を受けたら、そのWebページのURLを教えてあげればいいのです。

 中には、すべての投稿の末尾に退会用の手順を載せられるようになっているソフトウェアもあります。もしそのようなオプションがあるのなら、有効にしておきましょう。これは、メッセージの目立たない場所にほんの数行の内容を追加するだけです。たったそれだけで、あなたの手間は激減するでしょう。「退会方法を教えて!」というメールがあなたあてに(もっとひどいことには、メーリングリストあてに!)届くことも減ります。

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