クラウドに関する「モヤモヤ」を解消する〜後編栗原潔の考察(2/4 ページ)

» 2009年10月06日 08時49分 公開
[栗原潔,ITmedia]

モヤモヤ6 ITベンダーはクラウドでどのように収益を上げればよいのか

 ITベンダーがクラウドを利用してビジネスを行う上では大きく3つの方向性がある。1)自らがクラウド事業を行う、2)クラウド事業者に対してハードウェアやソフトウェアのソリューションを販売する、3)ユーザー企業のクラウド活用を支援するという選択肢だ。

 ITベンダーの多くが、何らかの形で上記の方向性の1つあるいは複数を推進している。もちろん、どの方向性を推進すべきかはベンダーのビジネス戦略により変わってくるが、1)の方向性には注意が必要だ。前述のとおり、クラウド事業は本質的に規模の経済がものをいうビジネスである。ゆえに、中途半端にクラウドの基盤事業に乗り出すことは意味がないことが多いだろう。

 また、自らがクラウド事業を行うことで、顧客としてのほかのクラウド事業者と競合することになり、上記の2)の方向性のビジネスに悪影響を与えてしまうことも考えられる。ニッチなSaaS(サービスとしてのソフトウェア)事業に徹して他社のクラウド基盤の上でサービスを展開する方が適切な方向性であることが多いだろう。

 3)の選択肢は要注目だ。クラウドは、ユーザー企業においてまだ全面的に普及しているわけではないので、ノウハウを早期に蓄積できたベンダーにとっては、ブルーオーシャンのような未踏の機会が存在する可能性がある。

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