世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

競争力を高める打開策、テレワークの今世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/3 ページ)

» 2010年01月29日 07時00分 公開
[百瀬崇,ITmedia]

企業が在宅勤務を導入する4つの契機

 テレワークには大きく2種類の形態がある。1つは家庭で仕事をする「在宅勤務」で、もう1つはノートPCなどを使って本拠地や自宅以外で働く「モバイルワーク」だ。本記事では最近増えつつある在宅勤務を取り上げる。

 野村総合研究所情報技術本部技術調査部主任研究員の一瀬寛英氏は、「企業が在宅勤務制度を本格導入する契機は大きく4つある」と話す。4つの契機とは、「家庭と仕事の両立」「ソリューション展開」「柔軟な働き方の推進」「BCP(事業継続計画)の視点」だ(図2)。

図2 企業が在宅勤務制度を本格導入する際の契機[出所:野村総合研究所技術調査部「ITロードマップ2009年版」]
一瀬氏 野村総合研究所情報技術本部技術調査部主任研究員 一瀬寛英氏

 家庭と仕事の両立は、育児や介護などのために在宅勤務制度を利用するもの。多くの企業が人事制度として従業員に与える権利だが、従業員全員を対象にすることは少なく、会社が提示する条件に合う場合に限定される。

 柔軟な働き方の推進は、家庭と仕事の両立のケースを拡大したものであり、子育てや介護などの理由以外でも利用できるものとして、全従業員を対象にしている場合が多い。通勤や移動時間を減らすことで生産性を高めるのが目的であり、多様なワークスタイルを認めることで優秀な人材の雇用や離職の軽減も図れるメリットがある。

 BCPの視点は、事業継続性を目的にしている。通常は会社で働き、大規模災害などの非常事態には策定されたBCPに即応対応できるよう準備しておくものである。実際には急な在宅勤務を実行するのが難しいこともあり、訓練として在宅勤務を実施する場合もある。

 ソリューション展開は、ICT系企業が自社の製品やサービスを自ら利用しているものが多い。原則として全社的に誰でも自由な働き方ができ、どこで働いても良いという体制を取る企業が目立つ。だが、いつも在宅勤務でいいというわけではなく、大半の企業は週に1〜2日を限度としている。

 一瀬氏によれば、これらの4つの契機によって企業が在宅勤務制度を本格導入し始めたのが2000年以降になる。「この間に新しい働き方をさまざまに試行錯誤しながら、2006年ごろから大手企業にも広まり始めた」という。

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