モバイルデバイスで手軽にネットにアクセスして、アプリやコンテンツを利用する――AppleのiPadも、GoogleのChrome OSも同じ目標を描いている。いずれ衝突することは必至だろう。
もしもAppleのiPadが人気を博したら、Googleのクラウドコンピューティング計画にとって手強い相手になるだろう。
iPadはユーザーにこれまでで最も魅力的なインターネット体験を提供することを目指している。Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、iPadを持つのは「インターネットを手にする」ようなものだと話していた。
9.7インチのIPS液晶ディスプレイは鮮明なHD(高精細)動画やゲーム、電子書籍、電子メールなど、ユーザーがWeb、つまりクラウドで利用するコンテンツを表示する。クラウドコンピューティング分野を追っている作家のニコラス・カー氏は、iPadについて次のようにまとめている。
「Appleはクラウド時代のキラーデバイスを提供したいのだ。それはWindows PCが古き時代を定義づけたのと同じように、コンピューティングの新たな時代を規定するマシンだ。iPadは、ジョブズ氏が今日言ったとおり、『中間のデバイス』――小さなスマートフォンと従来のノートPCの間のスイートスポットを狙った多目的ガジェットだ。これが成功したら、われわれはiPadを使ってiTunesでコンテンツを再生し、iBooksで本を読み、iShowsを見て、iChatsをするようになるだろう。iWorldだ」
Googleはそんなことをさせないだろう。同社は2010年後半に「ユーザーの手にインターネット」を独自に実現する予定だ。Chrome OS搭載のNetbookで。
さらに、Acer、ASUSTeK Computerなどが開発しているAndroid搭載のタブレットマシンやNetbookも多数ある。Dellのマイケル・デルCEOも、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムでAndroid搭載の「Dell Mini 5」タブレットを披露した。
iPadは明らかに、Googleのクラウドコンピューティング計画にとって強敵となる。この計画には、Google検索とGoogle AppsをあらゆるWeb対応デバイスで利用できるようにすることなどが含まれる。Gartnerのアナリスト、レイ・バルデス氏は、AppleとGoogleは似た機能を持つデバイスを投入し、衝突する運命にあるとしている。
「iPadは、OutlookやExcelが必要なモバイルワーカーや、ソファでWebサーフィンをする人よりもむしろ、カジュアルユーザーを幅広くターゲットとしていると言える」とバルデス氏は語る。「Chrome OS搭載のNetbookも同じ用途に使われると言っていいだろう」
そこで消費者は古典的な板挟みの状況に置かれることになる――499ドルからのiPadを買うのか、それとも、同程度かもっと安いChrome OS Netbookを買うのか?
バルデス氏は2種類のユーザーを想定している。iPadでApp Storeからゲームを買ってプレイするティーンエージャーと、Chrome OS搭載Netbookでインターネットコンテンツを利用する母親、あるいは父親だ。
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