グローバルサイトの目的を定めた後は、サイト構成を固めていく必要がある。グローバルサイトの構築で間違わないためには、コンテンツやデザインの正しいカスタマイズが重要だ。
グローバルサイト構築には、全体のサイト構成の最適化が不可欠だ。その際求められるのは「共通化」と「現地化」である。この2つの観点から、グローバルサイトに必要なサイト構成、コンテンツ、翻訳、デザインを考えてみたい。
グローバルサイトの構築で重要なのは、ユーザーがアクセスしたい情報にスムーズにたどりつけるようにすることだ。そのためには、企業が運営する各サイトの相関関係を整理する必要がある。
ユーザーにとって分かりやすいグローバルサイトの構成は、「表示言語」あるいは「地域(国)」を切り口に考えることで見えてくる。どちらの切り口を採用するかによって、グローバルサイトがもたらす効果も変わってくる。
まずは言語を切り口としたサイト構成を考えてみよう。代表的な構成としては、日本語サイトを主体とし、英語/中国語/スペイン語などの他言語のグローバルサイト(コンテンツ)が並列するものがある。
このサイト構造は、同じ情報をできるだけ広範囲に伝えたい企業に効果的だ。グローバルサイトで対象とする国によって、提供するコンテンツの違いが少ない場合は、言語を主軸にサイト構成を整備する方が、利用者、Web制作者にも分かりやすい。
また言語選択のナビゲーションがトップページの上部/下部におくと、日本語サイトから別のグローバルサイトにたどり着きやすくなる。このサイト構成では、予算に応じて他言語のグローバルサイトを段階的に増やすこともできる。
言語を切り口としたサイト構成は、比較的同じ規格の商品を輸出する部品メーカーや素材メーカーなどのB2B企業が多く採用している。また、国内で外国人向けにサービスを提供する旅館やエンターテインメント施設が運営するグローバルサイトも、この構造が多い。
グローバルサイトの対象国ごとに異なる情報を配信したい企業は、国という切り口でサイト構成を整理することが重要だ。例えばスペインとメキシコでは、スペイン語が日常的に使われているが、それぞれの国に別のコンテンツを提供したいとする企業もある。この場合、言語を切り口にしたグローバルサイトを構築すると、かえってユーザーの混乱を招きやすい。
国を切り口にしたサイト構造は、全世界向けに共通の情報を配置した窓口サイトを中心に置き、その下に日本/米国/スペインなどのサイトが並列する。世界中に拠点を持つ自動車メーカーや電気機器メーカー、チェーン店を多数持つ小売業、国ごとに商品やサービスが異なるB2C企業は、このサイト構造を採用していることが多い。
各グローバルサイトにおいて、どの言語で情報を提供するかは悩ましい問題の1つだ。望ましいのは対象国の公用語を使った情報提供だが、1つの国でも複数言語で情報を表示しなければならないスイスのような国もある。
費用対効果、管理・運用の観点から、優先度の低い国のグローバルサイトは現地以外の言語で構築されている例も数多くある。あるB2Bメーカーは、英語が堪能なパートナー企業としか取引しないというポリシーの下、某アジア国向けのグローバルサイトでも英語で情報を提供している。
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