中堅企業で「ひとり情シス」増加中 "掛け持ち"が招くリスクとは【調査】

中堅企業で「ひとり情シス」の割合が増加している――。ノークリサーチが中堅・中小企業800社を対象に実施した調査で、IT管理・運用を担う人員体制の変化が浮き彫りになった。特に注目すべきは、人員数だけでは見えない「兼任化」の進行だ。

» 2026年01月08日 08時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 情報システム部門の役割は大きく変わりつつある。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やセキュリティ強化、AI導入・定着施策の実施――。かつての「システムお守り役」から「ビジネス変革の推進役」へと期待値が高まる一方で、人員体制は追いついているのだろうか。

 調査会社のノークリサーチは、ユーザー企業におけるIT管理・運用の人員体制を調査した。そこで見えてきたのは、単純な「人員不足」とは異なる、より根深い問題だった。

「ひとり情シス」を増やしているのはどんな企業?

 同調査によると、年商500億円未満の中堅・中小企業全体における情シス担当・部門の人員数を2023年と2025年で比べた結果、「2〜5名」「6〜9名」「10名以上」が減少する一方で、「1名(=ひとり情シス)」だけが若干増加していることが分かった。

図1 中堅・中小企業全体における情シス担当/部門の人員数の経年変化(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 このように中堅・中小企業全体では「ひとり情シス」の割合が増加しているが、全ての年商帯が同じ傾向を示しているわけではない。さらに人員数だけでは見えない、より深刻な変化も起きている。それは何か。

人員数は同じでも「掛け持ち」が増えれば負担は倍増する

 人員数が同じでも、「兼任」と「専任」のいずれかによって、IT部門の実態は大きく異なる。

 業務の全てをIT管理・運用に費やせる「専任」に対し、総務・人事・法務などの間接部門や現場部門の業務と掛け持ちでIT管理・運用を担う「兼任」では、同じ人数でも対応できる範囲が全く変わってくる。

 兼任によるIT管理・運用は、単に時間的な制約があるだけではない。他部門の業務と掛け持ちすることでIT専門知識のアップデートが困難になり、結果としてシャドーITの放置やセキュリティリスクの増大を招く要因にもなり得る。

 年商5億〜50億円の中小企業層における「兼任」「専任」の変化を見ると、人員数に目立った変化は見られないものの、「専任」が大きく減少し、「兼任」が大幅に増えていることが分かる。

図2 中小企業層における情シス担当/部門の人員数の経年変化(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

 このように人員数は同じでも、兼任が増加することでIT管理・運用の実質的な人員不足が発生しているケースもある点に注意が必要だ、とノークリサーチは指摘する。

 なお、年商5億〜50億円の中小企業層では人員数の変化が比較的小さく、「ひとり情シス」の割合も若干減少している。

図3 中小企業層における情シス担当/部門の「兼任」「専任」の経年変化(出典:ノークリサーチのプレスリリース)

DX推進が「逆効果」になるリスクとは

 DXやITソリューションを導入・活用する際には、IT管理・運用の人員体制に起因する課題がどのように影響するかを把握することが重要だ。DXやITソリューション導入で業務フローに変更が生じた際の「情シス側の対応力」に注意する必要がある。

 DXやITソリューションに取り組む際の課題のうち、「業務フローを変更すると逆に効率が下がる」と「既存システムの管理・運用で手一杯である」の回答割合をIT管理・運用を担う人員数別に集計した結果はどうか。

図4 DX/ITソリューションに取り組む際の課題(出典:ノークリサーチ)

 「既存システムの管理・運用で手一杯である」という課題は、IT管理・運用の人員数が増えるにつれて回答割合も高くなっている。一方、「業務フローを変更すると逆に効率が下がる」は「2〜5名」と「6〜9名」の方が「10名以上」よりも値が高い。

 DXやITソリューション導入によって業務フローに変化が生じると、IT管理・運用の人員数が2〜9名では従業員からの問い合わせに対応しきれなくなり、逆に業務効率が下がる可能性があることを示唆している、とノークリサーチは指摘する。

 同調査は、ユーザー企業のIT管理・運用を担う人員体制の推移や課題、ニーズを探るため、国内企業800社の経営層またはIT活用の導入・選定・運用に関わる職責者を対象に2025年5月に実施された。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR