AIエージェントなどを活用している企業の8割が「人減らし」 費用対効果に明暗の理由は?IT調査ピックアップ

ガートナーによると、AIを活用し、自律的に業務を遂行している組織の約80%が人員削減を進めている。だが、人員削減はROIの向上には必ずしも結び付いていないという。

» 2026年05月12日 08時00分 公開

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 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2026年5月8日、自律型ビジネス(編注)に関する調査結果を発表した。同調査によると、自律型ビジネスを試験的に導入、あるいは展開する組織のうち、約80%が人員削減を進めている。ただし、人員削減が必ずしも投資収益率(ROI)向上につながっているわけではないという。

(編注)自律型ビジネスとは、AIエージェントや、RPA(Robotic Process Automation)などの自動化ツールとAIを組み合わせたインテリジェント・オートメーション、Rデジタル・ツイン、資産のトークン化といった自律型テクノロジーを活用し、ITシステムと人間の両者がより高い自律性で業務を遂行するビジネス形態を指す。

ROIを向上させる組織の特徴は?

 同社によると、同調査で「自律型テクノロジーから高いROIを得ている」と回答した組織と、「わずかな成果」あるいは「マイナスの成果しか得られていない」と回答した組織の人員削減率はほぼ同じだ。では、自律型テクノロジーを導入して人員削減を進めている組織の間で、ROIに差が出るのはなぜか。

 ガートナーによると、ROIが向上している組織は人間が自律型システムを導き、その活用範囲を拡大できるようにスキルや役割、オペレーティング・モデルに投資している。

 ガートナーはAIエージェント・ソフトウェアへの支出額は2025年の864億ドルから、2026年は2065億ドル、2027年には3763億ドルに拡大すると予測している。AIエージェントの導入が進むにつれて、自律型ビジネスも拡大するというのが同社の見立てだ。今後、ITシステムと人間の両者の自律性が高まることで、人材の必要性はむしろ増加する。AI単独では担えない新しい仕事が生まれることで、自律型ビジネスは2028〜2029年に雇用を創出すると予測している。

 Gartnerのヘレン・ポワトヴァン氏(ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト)は次のように述べる。「長期的には、自律型ビジネスによって人間の仕事は増えるだろう。人口減少といった構造的な要因や、信頼性が重視される消費者対応などにより、自律型ビジネスの運営、管理、拡大には人材が引き続き中心的な役割を果たすだろう」

日本企業に求められるものは?

 ただし、日本企業が置かれている状況には、世界と異なる側面がある。ガートナーの林宏典氏(ディレクター アナリスト)は日本企業に向けて以下のようなメッセージを送る。「日本企業が直面しているのは、人員削減の圧力よりもむしろ人材不足への対応だ。CIO(最高情報責任者)はCHRO(最高人事責任者)と緊密に連携し、限られた人員体制の中で事業を維持し、拡大を図るため、従業員のAIスキル向上を推進することが求められる。AIによる業務自動化にとどまらず、AIを活用した新たな価値創出を目指すべきだ」

 同調査は2025年第3四半期に、世界の経営幹部350人を対象に実施された。対象者が所属している組織は年間売上高10億ドル以上で、AIエージェントやインテリジェント・オートメーション、自律型テクノロジーのうち少なくとも1つを試験導入、あるいは既に展開している。

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