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» 2010年07月07日 08時00分 公開

伴大作の木漏れ日:スマートグリッドの行方 (2/3)

[伴大作,ITmedia]

ルールを変えるグリーンニューディール

 時計の針を今に戻そう。バラク・オバマ大統領は2009年2月17日、「アメリカ再生・再投資法」(American Recovery and Reinvestment Act:略称ARRA)に署名した。経済再生法に基づき、2009年から11年間で総額7870億ドルを支出すると掲げている。雇用対策を念頭に置いているが、インフラ投資や研究開発、産業育成への予算も確保している。

 また、送電網近代化、スマートグリッドに110億ドル、風力・太陽光などの再生可能エネルギーへの融資保証に60億ドル、次世代電池製造への助成に20億ドル、再生可能エネルギー事業への生産税控除延長に131億ドル、クリーン/再生可能エネルギー関連の減税、債務保証などに830億ドルを投資するとしている。その多くは、エネルギー省の予算である。米国には、スマートグリッドや再生可能エネルギーの開発に巨額の投資を行うという取り決めがある。

 対する日本政府は、リーマン・ショックに端を発する経済悪化に対応する施策を準備した。「環境」や「エコ」をキーワードに、自動車や電気製品の買い替え促進などを図るエコポイント制度や、「家庭用太陽光発電の助成金」施策などがある。なお米国でも、日本同様自動車の買い替え促進に対する優遇策(20億ドルの投資)、家庭の省エネルギーの減税額を20億ドルに拡大するといった同様の取り組みがある。

 では両政府の違いは何か。それは米国が太陽光発電を社会インフラの1つと位置付け、社会システムあるいはビジネスモデルとして電力産業の近代化を狙っているのに対し、日本は既存のベンダー、チャネルに頼る構図にとどまっている点だ。

 個々のデバイスビジネスで米国は日本に遅れを取っているが、新たな着眼点や斬新なコンセプトの提案、考え方のスケールでは、日本をはるかにしのいでいる。米国には全標準を支配する力があることを考えると、日本の将来に対しては、暗い気持ちにならざるを得ない。

電力会社に遠慮する日本、新たな電力網を構築する米国

 ここ数年、米国ではカリフォルニア州などで大規模な停電事故が発生している。発電所新設の停滞、変電所の設備や送電網の老化などが原因だ。これらの課題に対し、米国は次世代の電力供給システムの構築によって対処しようとしている。

 米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)は、発電量の小さな発電所を消費地の近くに複数作り、グループ化している(これをコンピュータ的にノードと呼ぶ。各ノードは独立している)。各ノードで電力の消費パターンが異なり、電力の余剰と不足が恒常的に発生するが、その電力はノード間で電力を自動的に融通される――。これが次世代電力供給システムの姿だ。

 もちろんこの構想に対して、コストや安定供給の面で、既存の電力会社が賛成するはずがない。発電機やタービン、変電設備を製造している事業者も同様だ。では、こうした次世代システムは誰に恩恵をもたらすのだろうか。

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