Googleの2011年の目標は“モバイルクラウド”

Googleの「モバイル第一主義」を強調するシュミットCEOが、次世代サービス実現のための3つの取り組みについて説明した。

» 2011年01月27日 14時27分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleのエリック・シュミットCEOは2010年、同社はコンピューティングに対して「モバイル第一主義」を採り、これにはスマートフォンからGoogle Appsをはじめとする同社の技術が含まれると繰り返し示唆した。

 Googleは2011年、この方針を推進しようとしている。シュミット氏はHarvard Business Reviewへの投稿記事で、Googleの今年の構想はすべてモバイルが中心になると述べ、次のように記している。

 今日、携帯電話の位置情報機能とWebブラウザ機能の結合により、ユーザーの現在位置、そしてその場所で現在、何ができるかについて、パーソナライズされた情報を配信することが可能となっている。しかも、こういったサービスを大規模に提供できるのだ。

 シュミット氏が言っているのはもちろん、Googleのコンテキスト型(状況対応型)ディスカバリー機能のことだ。これは、ユーザーが興味を持ちそうな場所の近くにいることをそのユーザーの携帯電話を通じてGoogleが検知すると、自動的にレコメンデーションをユーザーに送信するという技術だ。

 同氏は昨年9月に開かれたTechCrunch Disruptで、スマートフォンを通じて近くの博物館をユーザーに知らせるという応用例を紹介した。

 Googleの地域情報サービス戦略を統括するマリッサ・メイヤー氏は「LeWeb」イベントで次のように語っている。

 このアイデアは、コンテキストに対応した位置情報をユーザーにプッシュ配信するというものだ。Web上でのユーザーの行動を把握した上で、Webブラウザやツールバーの中で情報を配信するのだ。だがこれはUI(ユーザーインタフェース)的に難しい問題でもある。Webブラウザの場合は、右側あるいは下部のパネルに情報を配信するという形になるかもしれない。携帯電話の場合、それはユーザーが実際にいる場所にある。ユーザーが次に最も必要とする情報がどこにあるかが分かるのだ。レストランであれば、それは恐らくメニューだろう。あるいはソーシャルメニューかもしれない。位置には明示的側面と暗示的側面があるのだ。

 Googleがローカルレコメンデーションエンジン「Hotpot」などの技術を活用していることを考えれば、これは非常にエキサイティングで意欲的な発言だ。しかしGoogleがこの目標を達成するためには、同社が準備すべきことが3つあるとシュミット氏は強調する。

1. LTE(Long-Term Evolution)ネットワークの開発にフォーカスする

 8〜10Mbpsの速度を実現するLTEは、今日の無線ネットワークと比べると10倍のデータスループットだ。米Verizon、米AT&T、米Sprint、米T-Mobileの各社はいずれもLTEの開発に取り組んでいるが、その一方で「Google Fiber」は今年、何を実現するのだろうかという疑問も起きる。

2. スマートフォンによるモバイル決済を可能にする

 GoogleがAndroid 2.3で「NFC(Near Field Communication)」と呼ばれる近距離無線通信技術をサポートした理由もそこにある。同技術では、ユーザーが韓国のSamsung製「Nexus S」などのスマートフォンを決済端末の上にかざすことによって支払いを済ませることができる。Googleとしては当然、この流れに加わり、モバイルコマース分野で領土を確保したいところだろう。

3. 低価格スマートフォンを普及させる

 「Googleは世界の貧困地域での低価格スマートフォンの普及を促進したい。今後数年で、文字通り10億人の人々が低価格のブラウザベースのタッチスクリーン搭載端末を手に入れると予想している」とシュミット氏は語る。

 最後のシュミット氏の発言について言えば、Googleの口からこういったことを聞くのは初耳だが、これは十分に理にかなったことだ。発展途上国の人々はコンピュータを持っていないかもしれないが、安価な携帯電話であれば多くの人々が手にすることができる。これは、Googleが10億人の新規ユーザーを獲得するための唯一の手段かもしれない。

 この目標を目指しているのはGoogleだけではない。米Facebookは1月19日(現地時間)、発展途上国で使われているフィーチャーフォン(多機能型携帯電話)向けにデザインされたアプリ「Facebook for Feature Phones」を発表した

 Googleが今年、こういった目標を達成するためには、やらなければならない仕事がたくさんあるが、同社の取り組みは順調に進んでいるようだ。すべての流れはモバイルに向かっている。

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