GoogleのシュミットCEO、自律検索と人工知能を語る(1/2 ページ)

シュミットCEOは「TechCrunch Disrupt」での講演で、ユーザーの検索を予測して結果を表示する「Google Instant」の次のステップは、検索しなくても情報を提示する「自律検索」だと主張した。

» 2010年09月30日 16時14分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleのエリック・シュミットCEOによると、人間とコンピュータとの共生関係が同社に自律検索技術の開発を促しているようだ。この技術を利用すれば、ユーザーが検索語を入力しなくても検索結果の候補が携帯電話上に表示されるようになるという。

 サンフランシスコで9月28日(現地時間)に開催された「TechCrunch Disrupt」イベントで講演したシュミット氏は「予測検索技術のGoogle Instantは、ユーザーの検索時間を平均で2秒短縮した。次のステップは“自律検索”だ」と語った。

 これは、ユーザーが自ら検索作業を行わなくとも、Googleがユーザーに代わって検索を実行するという技術だ。シュミット氏は一例として、サンフランシスコ市街を歩いているユーザーは、携帯電話のボタンを押さなくても、近くの施設に関する情報を携帯電話に表示させることが可能になると述べた。

 「これは一種のセレンディピティエンジンだ」とシュミット氏は説明した(訳注:「セレンディピティ」とは予期せぬ発見を意味する)。「従来のテキスト検索でユーザーが検索語を入力しなくて済むようにする技術だとも言える」

 シュミット氏によると、IT業界は「人間の拡張版」の実現に向かって進んでいるという。これは、人間が不得意なことをコンピュータに手助けさせ、またコンピュータが不得意なことについては人間が手助けするという世界だ。

 言い換えれば、人間とコンピュータのどちらの側にも開くドアのようなものだ。そしてGoogleは現在、検索結果の候補をコンピュータに与えているという段階だ。

 近い将来、Googleの検索エンジンは「天気はどうか?」といった質問を解釈し、ユーザーが知りたいのがレインコートを着る必要があるかどうかなのか、それとも植木に水をやる必要があるかどうかなのかを判断できるようになる、とシュミット氏は話す。

 「アルゴリズムの改良、情報量の増加、ユーザーの許可といった条件が整えば、われわれはユーザーが本当に尋ねている質問に答える能力を高められるだろう」と同氏は述べた。

 こういったパーソナル検索技術の開発を進めるGoogleは、コンシューマーのプライバシーをどう位置付け、それをどのように保護するかという問題について非常に慎重であらねばならない。この種のセマンティック検索は、Googleが懸命に実現しようとしている人工知能(AI)システムに向けた多数の小さなステップの1つだ。

 その目標の達成に向け、Googleは2つの主要な手段を利用する考えだ。モバイルWeb(特にスマートフォン)とクラウドコンピューティングだ。

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