スマートグリッドにもサイバー攻撃の危機 送電網が“人質”

McAfeeは公表した報告書でスマートグリッドの弱点を解説。何者かが電力会社などのシステムに不正侵入して破壊能力を誇示し、金銭を脅し取ろうとした事件が各国で報告されているという。

» 2012年07月20日 07時52分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 セキュリティ企業の米McAfeeは、送電網の制御に使われるスマートグリッドの弱点を指摘する報告書を発表した。都市機能を担う送電網がサイバー攻撃の標的になりかねない現状に警鐘を鳴らしている。

 McAfeeは報告書の中で、送電網が攻撃されれば家庭用の照明や家電から防空システムに至るまであらゆる分野に被害が及び、都市機能がマヒする恐れもあると解説。何者かが電力会社などのシステムに不正侵入して破壊能力を誇示し、金銭を脅し取ろうとした事件が各国で報告されているという。さらに金目当てや情報目当てのスパイ活動や妨害工作などの恐れもあるとした。

 スマートグリッドの弱点としてはまず、既存の電力網の推定70%は30年以上前のものであり、これを近代化する過程で古いシステムを暗号化しないままインターネットに接続するなど、セキュリティ対策が後手に回りがちだと指摘した。

 さらに、電力網を遠隔コントロールするためのオートメーション化によって、外部からシステムにアクセスできる状態になったことも挙げている。

 だが最も危険なのは恐らく、送電網に組み込まれたソフトウェアやデバイスの汎用化が進み、相互運用性が高まっている点だとした。これが弱点となって、不正侵入や破壊活動の格好の標的になりかねないと警告している。

 こうした弱点に対処してサイバー攻撃を食い止めるため、「グリッドコンポーネントは計画・設計段階からセキュリティを組み込む必要がある」とMcAfeeの専門家は強調している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ