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» 2012年08月21日 08時00分 公開

モバイルワーク温故知新:無線LANに託された壮大な夢と未来 (4/5)

[池田冬彦,ITmedia]

無線LAN規格の変遷とセキュリティの進化

 IEEE 802.11b規格の無線LANは2002〜2003年頃から大きな広がりを見せ、オフィスや家庭内での利用も増えてきた。とは言え、IEEE 802.11bは最大通信速度が11Mbps(理論値)しかなく、電波環境の良い場所でも実効速度は4〜6Mbps程度と低速だった。イーサネットの世界で100Base-TX(理論値:100Mbps)が普及するようになると、有線LANと無線LANとの速度差はさらに広がってしまった。

 その差を埋めるべく登場したのが、IEEE 802.11gだ。IEEE 802.11bの約5倍もの通信速度を達成し、高速のデータ転送ができるようになった。コンピュータメーカーやネットワークベンダーなどの同規格への対応は早かった。特にAppleを率いるスティーブ・ジョブズは、まだ規格がドラフト段階だった2003年の1月に早々と同規格に対応する「AirMac Extreme」を発表し、業界を驚かせた。

 他のメーカーやベンダーもAppleの動きに追従し、規格がドラフト段階であるにも関わらず、積極的に新製品を市場に投入した。この動きを契機に、無線LANはかつてないほど大きな広がりを見せ、オフィスや家庭に導入される動きがこれまで以上に加速した。

AirMac Extreme コンピュータベンダーとして初のIEEE 802.11g製品となったAppleのAirMac Extreme

 また、セキュリティ面でも大きな進展が見られた。これまで無線LANのセキュリティ方式は「WEP」と呼ばれる方式が主流だった。しかし、WEPは攻撃方法が確立されたため脆弱なものとして認知されるようになり、その代わりにWPA、WPA2という新たなセキュリティ方式が普及し始めた。WPAは2002年、WPA2は2004年に発表され、この方式に対応する無線LAN製品が増えてきた。

 WPA、WPA2には企業向けのWPA-EAP、WPA2-EAPという規格も用意された。これはIEEE 802.1X対応の認証サーバを利用して高度なセキュリティを確保し、改ざんや盗聴、なりすましなどの問題を解決する。従来、「無線LANは危険」という理由でオフィスに導入しない企業も多かったが、2004年〜2005年頃には既に社内利用のためのセキュリティ方式が確立されており、環境さえ整備すればオフィス内で無線LANを安全に使える土壌ができ上がっていた。

 無線LANの規格はその後も進化し、2009年9月には最大600Mbpsという高速通信が可能なIEEE 802.11nが策定された。この規格はMIMO(Multi Input/Multi Output)という多重通信の仕組みを使ってデータを高速転送する。この多重通信の数を「ストリーム」と言い、無線機器やノートPCに内蔵する無線チップのアンテナ数によってストリーム数に違いがある。現在の一般的なものは2ストリーム(最大300Mbps:理論値)と3ストリーム(最大450Mbps:理論値)の製品だ。

無線LANの規格一覧

規格名 規格策定時期 周波数帯域 通信速度(理論値)
IEEE802.11 1997年6月 2.4GHz 2Mbps
IEEE802.11b 1999年10月 2.4GHz 11Mbps
IEEE802.11a 1999年10月 5GHz 54Mbps
IEEE802.11g 2003年6月 2.4GHz 54Mbps
IEEE802.11n 2009年9月 2.4/5GHz 65〜600Mbps
IEEE 802.11ac 2013年予定 5GHz 433Mbps〜6.93Gbps

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