“脱・属人化”を目指し、情報共有基盤を刷新した明星大学学内コミュニケーションに変化あり!(1/2 ページ)

長年にわたり内製化したグループウェアでキャンパス内の教室予約や教職員のスケジュール管理などを行ってきた明星大学だが、システムの運用・管理面で問題を抱えていた。そこで打った一手とは――。

» 2012年09月06日 11時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

100を超える学内施設を紙で管理

 1964年に開学した明星大学は、「自己実現を目指し 社会貢献ができる人の育成」を教育目標に掲げ、グループワークの授業や海外でのフィールドワークなどを積極的に推進することで、次代を切り開く人材を育てている。

 明星学苑を学校法人として、明星大学の日野キャンパスと青梅キャンパス、姉妹校であるいわき明星大学、明星幼稚園、明星小学校、明星中学校、明星高等学校と、すべての年代を網羅した一貫教育を展開しており、児童、生徒、学生の総数は2万人を超える。これだけの規模に対処するため、教職員の数も決して少なくなく、明星大学だけで約700人の教職員が勤務している。

 そうした組織体制において、明星大学でかねてから課題として挙がっていたのが、業務の非効率性である。15年ほど前まで時計の針を戻そう。当時、ほとんどの大学では紙ベースによる業務が主流であり、学生の履修登録や奨学金申請などの情報はほぼ紙で管理されていた。明星大学も例外ではなく、とりわけ学内の施設管理に問題意識を持っていた。

明星大学 情報システム課 課長補佐の小峰一純氏 明星大学 情報システム課 課長補佐の小峰一純氏

 「当時、100以上ある教室の空き状況をすべて紙で管理していた。教職員や学生が教室の利用、予約する際にはこの紙に書き込む必要があるわけだが、それをせずに無断で利用したり、予約したが利用しなかったりすることが多々あった。ただし、事実上、管理できていなかったため、そうした状況すら把握していなかった」と、明星大学の情報システム課で課長補佐を務める小峰一純氏は振り返る。

 そうした課題を解決すべく、2000年ごろ、内製でグループウェアを構築し、施設管理のオンライン化を図った。これが、同大学が初めてグループウェアを活用するきっかけとなった。

 効果はすぐに現れる。施設を予約する側は自らのPC画面で現在の利用・予約状況を確認できるので、いちいち事務室に問い合わせる必要がなくなった。事務室側も紙で管理するという煩雑な事務作業から解放された。また、全体の状況を可視化することで、空き教室は空調の電源をオフにするなど、より厳密に施設を管理するようになったという効能ももたらされた。

 次に、グループウェアに追加した機能が、職員のスケジュール管理である。それ以前は、ホワイトボードでスケジュールを管理していたが、「他部署の職員のスケジュールや、同じ部署の職員でも一定期間の予定しか分からなかった」(小峰氏)ので、その都度、本人に直接確認しなければならなかった。グループウェアにスケジュール機能を実装することで、職員同士のコミュニケーションが以前と比べて効率化したという。

属人化からの脱却

 グループウェアの導入で職員の業務効率が高まった一方で、システムの運用・管理という新たな課題に直面した。

 現在、同大学のIT部門は7人の専任スタッフがいるが、実際にグループウェアのメンテナンスやシステム改良ができるのは、開発した当人である小峰氏だけだった。「エンドユーザーからシステム改良依頼は次々に出てくるが、それに従事できる人間が限られている。属人化した状況から脱却しなければならなかった」と小峰氏は話す。

 そうした中、システム業務の継続性を目的に、内製システムから商用のパッケージ製品への移行を検討することになったという。

 なお、学内システムの運用、管理における属人化は、このグループウェアだけではなかった。業務部門が個別に導入したシステムが散在しており、各所で同じような問題を抱えていた。これについては、今年からIT部門が各部門のシステムをすべて引き受け、一元管理する体制に変えたという。

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