PCやスマホ初心者に告げたいこと、「ネチケット」を賢く学べ! その2“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話(1/2 ページ)

メールでのやり取りは自分の意図に関係なく残る。細心の注意が必要である。今回はこの点を別の角度でも見ていくとともに、パスワードについても考えてみたい。

» 2012年10月12日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 今回も前回に続いて「ネチケット」に関する話題を取り上げたい。

下呂温泉できちんとフォローした友近さん

 あるテレビ番組の中で、芸能人のローラさんがいつものボケを(?)演じていた。そして、同席していた芸能人の友近さんが「下呂温泉」の話題を提供した。ローラさんはいつものように演じて、「ゲロ……いやだぁ、きたない」と話したらしい。

 最近、「芸能人」というよりはテレビを昔に比べてほとんど見なくなった(報道系はまだよく見ているが )。以前に筆者の連載でも取り上げたが、あまりにも最近のテレビ制作が安易で、芸能人同士の身内ネタや自虐的行為が多く、殺伐とした笑いしか(一部では頑張っている関係者もいるが)提供されなくなった。

 それどころか、一部のこどもたちはそういう行為(どっきりとか、人を平気で殴ったりするとか)をすることで、大人たちが「笑う」=「自分は人気者、芸能人と同じ」という感性になっているかもしれないという心配がある。こどもたちは大人が考えるより繊細であり、敏感なのだ。大人同士なら許される行為でも、こどもたちはそこまでテレビの中で汲み取ることはできない(特に大人の場合は「金銭」が絡んでいるが、そこは分からない)

 だから、テレビのような行為を学校や仲間同士でしている可能性が高いのである。「いじられ役」のこどもが当初はさほど気にもしていなかったような状況は、一度坂道を転がり出すとだんだんと制止できなくなってしまう。「いじり役」も止まりようが無くなってしまう。本来なら周りの上級生や先輩、そして先生や両親が気付いて制止することで、何ともないような事象にとどめられるはずのことが、最後まで転がる大きな球のようになって行く――そういう図式が見え隠れしているような感じがしてしかたがない。

 前回お伝えしたように、デジタル情報だけによるやり取りがもたらすリスクが徐々に顕在化しているのではと感じ始めている。デジタル情報とは前回の取り上げたメールに限らない。動画や掲示板、SNS、学校裏サイト、投稿サイトなど、あらゆるものが当てはまる。テレビ局が制作した番組もある意味では立派なデジタル情報なのだ。

 筆者がこどもの頃は、そういうものはほとんどなかったし、録画するという行為も不可能だった。つまり放映されても、その場限りで消えていくだけだ。

 前置きがやや長くなったが、冒頭のローラさんの発言も、昔ならそれだけで済んだかもしれない。しかし、今は違うのだ。彼女に「そういう発言が一生残る、ここの発言はメールと同じ」という意識があれば、絶対にしてはいけないと考えたに違いない。そのままであれば、後に「発言を撤回し文書でマスコミに謝罪するように要求する」などというような文書を関係者から送られるかもしれなかった。

 番組を見て筆者のような感じ方をした視聴者もいるかもしれない。しかしその直後、友近さんのフォローが良かった。友近さんは大爆笑だった周りに構うことなく、「下呂温泉は岐阜にあるすごく良い温泉」「下呂温泉にきちんと謝ってください」とテレビの前で発言したという。

 たぶんこの会話で一番恩恵を受けたローラさんは、そこまで気が付いていたのかは疑問だが、ぜひお礼をすべきだろう(他人がとやかく言う問題ではないが)。筆者の中で友近さんに対する好感度が大いに高まった。すばらしいと思う。これでローラさんは謝罪をせずに済んだからだ。

 テレビでうかつな発言をしているのはトーク番組に出演している芸能人だけではない、国会議員なども何回も痛い目に会っても同じミスを繰り返す。デジタルの怖さを心から感じていないのでないだろうか。本当に悲しくなるくらいである。

 本稿でしつこいくらいにお伝えしているが、それは有史以来、人間は進歩したがその進歩のせいで不自由さも付いて回ることになったという点だ。会話は消えるし、ひどい喧嘩も時が解決してくれる。しかし、メールやテレビでの発言は消えないし、死んでも残るのだ。

 だから、まずは心の中で良く考え、「他人がこの文章や発言だけを切り取った場合に意図しないようなことにならないのか」「真逆に捉えられないか」という自分を守るための思考をすると同時に、「他人を傷つけないか」「感情だけでメールやテレビで発言していないか」という検証をすべきである。

 その昔、「オールナイトフジ」という番組で、確かある辛口評論家が「文句があるなら自宅に電話してこい! 電話番号は×××だ」と話したら、周りの芸能人やテレビ関係者が「それはまずいことになりますよ」と警告した。しかしこの方は聞く耳を持たなかった。結果的に半月もしないで電話番号を変え、以降は「こういう発言は控える」とニュースになったそうだ。週刊誌によれば、電話が鳴りっぱなしで仕事やプライベートでの通話が一切できなかったようである。匿名での嫌がらせが大半で、奥さんがノイローゼになって、やっと事の重大さに気が付いたらしい。

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