第3回 新たなパラダイムを生むPureApplication System、パターンで企業の情報システムを変革PureSystemsが生まれたワケ(1/3 ページ)

続々と新たなモデルが追加されるPureSystemsファミリー、それはハイブリッド化されたzEnterpriseメインフレームと同じ思想で開発され、オープン系分散型システムの混沌を解決しようと生み出された。短期連載の最後は、パターンで情報システムを劇的に変えるPureApplication Systemを中心に見ていこう。

» 2013年02月15日 08時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]
日本IBMでソフトウェア事業を担当するマハジャン専務

 「PureSystemsは次の20年、新しいコンピューティングを牽引していくラインアップだ」── 2月14日、PureSystemsの第3弾となる新モデル群の記者発表会で日本アイ・ビー・エムのヴィヴェック・マハジャン専務はそう話した。

 振り返れば今から20年前、つまりおおよそ1990年くらいまでは、企業のミッションクリティカルな基幹システムのほとんどすべては集中処理型のメインフレームが担ってきた。しかし、その後は、オープン化とダウンサイジング、そしてインターネットの爆発的な普及が、WebサーバやJavaアプリケーションサーバをメインストリームの座に押し上げた。新しい世代のプラットフォームが、次々と新しいビジネスモデルを生み出してきた20年だったと言ってもいい。

 メインフレームを発明し、その市場を創造したIBMが、さらに最先端のテクノロジーを投入することによって、絶滅しつつあった「恐竜」の再生に成功したことは「恐竜の再発明? データセンターを丸ごと1つのコンピュータに集約するzEnterprise」で触れたが、企業の情報システムはオープン系分散型システムの乱立で混沌が深まる一方だ。個別に最適化されたオープン系分散型システムは、設計・調達や構築、システム間をつなぐインテグレーションに手間が掛かったほか、運用もばらばらに行わなければならず、予想以上に技術者の人的なコストが重荷となっている。

 だからといって、集中処理型へと時計の針を戻すことがこの問題を解決してくれるわけではない。新しいプラットフォームが新しいビジネスモデルを生んだように、コンピュータを適用する業務そのものの幅がそれまでとは比較にならないぐらい広がっているからだ。「計算」や「トランザクション」が中心だった情報システムの役割は、ビッグデータとアナリティクスによって大きく様変わりしようとしており、さらに新しいワークロードへのニーズも顕在化している。

ワークロードに適したアーキテクチャーを適材適所で

 ライバルベンダーたちが自前のプロセッサを放棄する中も、IBMは複数のアーキテクチャーに多額の研究開発費を投じ、その将来を約束してきたのは、こうしたさまざまな「ワークロード」に対して単一のアーキテクチャーでは顧客の期待に応えきれないからだ。それぞれのワークロードにはそれを処理するのに適したアーキテクチャーがあり、適材適所で異なるアーキテクチャーを組み合わせていく必要がある。

 もちろん、自慢の「仮想化技術」による資源のプール化と「Fabric-based Architecture」によるハイブリッド化によって、Power7プロセッサやx86プロセッサを搭載したブレードサーバも「1台の大きなコンピュータ」として集約できるように進化したzEnterpriseメインフレームが、その包容力で企業の情報システムの混沌を解決する切り札には違いないが、顧客にそれを押しつけるわけにはいかない。昨年4月に最初の製品が登場したPureSystemsファミリーは、ハイブリッド化されたzEnterpriseメインフレームと同じ思想で開発され、オープン系分散型システムの混沌を解決しようと生み出されている。

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