Guardian、元CIA職員の極秘データ入りHDDを破壊 “ロンドンからは”もう報道しない

元CIA職員のエドワード・スノーデン氏が米政府の極秘データのリーク先の1つとしてとして選んだGuardianが、英政府当局からデータの引き渡しあるいは破壊を要請され、データを保存してあるHDDを物理的に破壊した顛末を記事として掲載した。

» 2013年08月21日 12時52分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 元CIA職員エドワード・スノーデン氏からNSAの極秘文書を受け取り、数回に分けて文書の内容を記事化している英メディアGuardianは8月20日(現地時間)、英政府職員立ち会いの下、極秘文書データを保存したHDDを破壊した経緯を説明した記事を掲載した。

 事の起こりは6月、Guardianがスノーデン氏の資料に基づく最初のNSA関連の記事を掲載した約2週間後に、英政府当局の幹部が同社のオフィスを訪れ、Guardianが保有するスノーデン氏の全ファイルを即刻引き渡すよう要請したことだった。

 この段階では要請だったが、Guardianがこれを拒否すると、最終的にはファイルを引き渡すか破棄しない場合は法的手段に訴えると威嚇されたという。

 アラン・ラスブリッジャー編集長は「当局には、米国とブラジルのオフィスにもデータのコピーがあるから、ロンドンオフィスのデータを引き渡しても意味がないと説明した。だが、当局がわれわれを提訴しそうであることが明らかだったので、データを当局に引き渡すよりも手元のデータを破壊することを選んだ」と語る。「スノーデン氏が何を入手したのかを当局に知らせたくなかった」

 Guradianの編集者らは7月20日、英政府当局職員の立ち会いの下、人気のないオフィスの地下で極秘データの入ったHDDをグラインダーなどの工具で物理的に破壊し、職員らはこの様子を撮影して帰った。Guardianはこれを「デジタル時代のジャーナリズムにおける奇妙なエピソードになった」としている。

 guardian 破壊されたスノーデン氏のデータが入っていたとされるPC(MacBookのようだ)

 ラスブリッジャー編集長は、ロンドンオフィスでのスノーデン氏関連の報道はストップし、今後はジャーナリストの権利が守られている米国とブラジルで報道を続けることにしたという。

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