SAPジャパン、クラウド型ERP「Business ByDesign」国内投入

SAPジャパンがクラウド型ERP「SAP Business ByDesign」を国内投入。オンプレミス型SAP ERPとの機能連携が可能で、国内外で拠点を構える企業のシステム統合を支援するという。

» 2013年08月27日 16時41分 公開
[本宮学,ITmedia]

 SAPジャパンは8月27日、クラウド型ERPスイート「SAP Business ByDesign」日本語版を11月から提供すると発表した。既にオンプレミス型のERP製品を利用している大企業をメインターゲットとし、国内外の拠点とのシステム統合を支援するという。

 Business ByDesignは、会計管理、人事管理、購買管理、プロジェクト管理、生産管理、生産管理、在庫管理、販売管理などの機能をクラウド経由で提供する製品。オンプレミス型ERPパッケージと比べて短期間で導入できるのが特徴で、1ユーザー当たり月額150ドルからのサブスクリプション方式で利用できる。

photo SAPジャパンの馬場渉氏(バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長)

 英語版は2007年から提供されている同製品。日本向け展開に当たっては「日本の商習慣や法制度に合わせた機能を多く実装した」(馬場渉 バイスプレジデント クラウドファースト事業本部長)という。また、クラウド基盤に「SAP HANA Cloud Platform」を採用するなど、日本企業が求めるパフォーマンスや信頼性も確保したとしている。

 Business ByDesignの特徴は、オンプレミス型SAP ERPとの機能連携だ。例えば、取り引き先情報などのマスターデータをノンプログラミングで統合できるほか、受発注や出入荷などの業務プロセスも統合可能。「本社と販売子会社間での受発注などを1つのビジネスプロセスとして、システムの違いを意識することなく利用できる」(同社の佐々木直人 IVE&ソリューション本部 アプリケーションエンジニアリング部 ダイレクター)という。

photophoto SAP ERPとの連携イメージ

 まずは、グローバルで事業展開している日系企業を主要ターゲットとして販売していく。馬場氏によれば、本社でオンプレミス型ERP製品を利用している企業でも、国内外の子会社や小規模拠点ではシステムを標準化できていないケースが多いという。そこで、オンプレミス型と比べて短期間で導入でき、SAP ERPと組み合わせて使えるBusiness ByDesignの提供を通じ、多拠点でのシステム標準化を支援する考えだ。

 Business ByDesignの日本提供はこれまでに数回延期されてきた経緯があるが、「多くの日本企業にとって、数年前ならクラウド型ERPの導入など考えられなかったはず」と馬場氏は話す。だが現在、Amazon Web Service上でSAP ERPを本格稼働させる日本企業なども現れつつある。「日本語版はいつ出るのかと言われ続けてきたが、早すぎてもよくなかった。満を持してよいタイミングで投入できる」と馬場氏は意気込んでいる。

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