損保ジャパンが「実績と信頼」を評価した日立のノウハウとは?国内金融機関最大規模のVDI環境を構築

国内有数の損害保険会社である株式会社損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、本社・営業店の約1万5000ユーザーが利用する大規模なVDI環境を構築した。導入に際しパートナーとして選定したのは日立製作所(以下、日立)。自社導入・運用事例を始めとする豊富な導入実績を評価してのことだという。

» 2014年01月28日 10時00分 公開
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セキュリティ対策を軸にクライアントを選定

photo 損保ジャパン IT企画部IT推進グループの野副泰弘氏

 損保ジャパンは、“3メガ損保”と呼ばれる国内3大損害保険グループの一角を占めるNKSJホールディングスに属する大手損保会社である。戦略目標として掲げるのは「お客さま評価日本一/No.1」。業界でもトップクラスのサービス品質だと、高く評価されているという。2014年9月には、同じくNKSJホールディングス傘下の日本興亜損害保険との合併が関係当局の認可などを前提として予定されており、単体で収入保険料が国内最大の損保会社が誕生する見込みだ。

 同社では2010年、更改時期に合わせてクライアントPCのリプレースを検討していた。2004年からWindows XPが稼働するクライアントPCを運用してきたが、リプレースの構想段階からシンクライアントシステムの導入を視野に入れた議論が交わされたという。

 損保ジャパンで情報システム戦略を担当する、IT企画部IT推進グループの野副泰弘氏は次のように振り返る。

 「金融業である当社は、お客さまからの信頼を確保しなければならないという観点から、セキュリティ対策を最優先事項に据えています。業務上、お客さまの個人情報や当社の機密情報を取り扱わなければならないシーンがあり、端末からの情報漏えいのリスクをゼロにすることはできません。それを解決できるソリューションを検討したのです」

自らが大規模ユーザーでもある日立の実績を評価

 損保ジャパンでは、2010年度から2011年度始めにかけて、シンクライアントシステム導入に向けた検討作業を行った。そうした中、発生したのが東日本大震災である。従来から損保ジャパンでは、大規模災害が発生した際に顧客への保険金支払いなどの重要業務・サービス提供を継続できるような事業継続体制を整えているが、それを強化するためにもシンクライアントシステムの有効性は高いと確信を持ったという。

photo NKSJシステムズ 基盤システム本部 システム基盤第三グループ 部長の小泉尚之氏

 こうしてシンクライアントシステムの導入を決定した損保ジャパンでは、RFP(Request For Information)を作成。複数のベンダーに提案を依頼した。最終的には、日立の提案を採用したが、その決め手になったのは日立自身の取り組みだったという。

 ベンダー選定に関与したNKSJシステムズ株式会社 基盤システム本部 システム基盤第三グループ 部長の小泉尚之氏は、こう話す。

 「日立は、国内最大規模のシンクライアントユーザーでもあります。導入実績だけでなく、その運用実績が裏付けとなり、提案の信頼性が高いと判断しました」

 また、モバイル型シンクライアント端末でも、日立の提案を評価する。

 「日常業務で利用するものであるだけに、端末そのものの使い勝手も重要です。各社の端末を比較した結果、コンパクトで軽く、バッテリーの持ちもよいなど、外出時に持ち出した際の利便性を備えた端末だと考えました」(野副氏)

 損保ジャパンのシステム構築・運用を担当するNKSJシステムズの基盤システム本部 システム基盤第三グループ 主任システム・エンジニアの永江景佑氏も、次のように補足する。

 「シンクライアントシステムを活用したソリューションは、技術的な方式はある程度限られており、実現できることについて、各社提案に大きな差があるわけではないのです。しかし、実運用を通じた提案内容の説得力、導入前に実施した実証検証を通じた信頼感などでは、日立が優っていました」(永江氏)

日立から得られた導入・運用のノウハウで大規模導入を実現

 損保ジャパンは、2011年5月に日立と契約。VDI環境の構築・導入に着手した。導入に際しては、営業系と損害調査系に分け、第一弾として本社・営業店約600拠点の営業系で利用されている、約1万5000ユーザーものHDD付きクライアントPCをシンクライアント端末に置き換えた。

 なお、同社が導入したシンクライアント端末は、モバイルワークに適した薄型かつ長時間駆動と見やすいワイド画面を兼ね備えた「FLORA Se210 RK3」。デスクトップ環境を集約するデータセンター側には、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のブレードサーバ「BS320」を400台導入し、ストレージには仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」10台と「Hitachi Adaptable Modular Storage 2500」(以下、AMS2500)1ペタバイトを採用。AMS2500の容量仮想化機能を活用し、ユーザーが利用できるディスク容量を仮想的に2.5倍に拡大している。なお、サーバやストレージは、関東と関西の2カ所のデータセンターに分散し、ユーザーデータの同期処理を実施することで、事業継続性を担保している。

 VDI環境の構築には「Citrix XenApp」、Citrix XenAppを稼働させるサーバには「Microsoft Windows Server 2008 Hyper-V」を利用し、それらを統合システム運用管理「JP1」で運用管理する仕組みにした。VDI環境の方式として採用したのは、複数ユーザーでOSを共用するターミナルサービス方式だ。

photo 損保ジャパンが採用したVDI環境のシステム構成

 運用管理については、従来のクライアントPCも情報システム部門の主導により、ソフトウェア管理やセキュリティ・パッチの更新など十分な統制が効いていた。そのため営業系では、一部で利用している特殊なソフトを除いては、クライアントPCから一律にシンクライアント化することが可能だったという。

 営業系にシンクライアント端末の展開が完了したのは、2013年6月のこと。導入は、NKSJシステムズと日立が共同で行った。

 「シンクライアント運用に当たっては日立のSEチームによる大きな貢献がありました。日立での運用ノウハウをもとに現実的・具体的な提案をしてくれています。例えば、従来のクライアントPCであればExcelなどがハングアップしたときに、ユーザーが端末を再起動できますが、シンクライアントはできません。こうした場合の対処を提案してくれました」(小泉氏)

 「日立からは、ヘルプデスク業務についても実運用から得たノウハウを提供してもらっています。例えば“印刷するまでの時間は、従来の2倍を超えるとユーザーからの問い合わせが増加する”といった情報です」(永江氏)

将来的に約3万8000ユーザーまで拡張を予定

 シンクライアント端末の導入により、端末側にデータを置かないというセキュリティ向上の目的は達成できた。サーバ環境を分散し、モバイル型シンクライアントを採用することで、事業継続性向上の観点からも大きな導入効果が得られた。そうした中、もう1つのメリットとして上がってきたのが、ワークスタイル改革を実現できるという点だった。

 「従来のクライアントPCは、社内ネットワーク環境を前提にしていました。しかし、モバイル型シンクライアントにより、外出先での利用や在宅勤務など場所や時間にとらわれないテレワークについても考える幅が広がりました。これは、非常に大きなベネフィットだと考えています」(野副氏)

photo NKSJシステムズ 基盤システム本部 システム基盤第三グループ 主任システム・エンジニアの永江景佑氏

 VDI環境を運用管理する立場からは、保守の負荷が軽減される効果を期待する。

 「導入してから評価できるほど期間が経っていませんが、ハードウェアの故障に関しては従来のクライアントPCに比べて大幅に減ることを期待しています」(永江氏)

 また、長期のスパンで考えたとき、コスト削減効果も期待できるという。

 「端末だけでなく、ライセンス費なども考慮すると、シンクライアントシステムは決して安価なソリューションではありません。しかし導入後は運用や保守の面、あるいはユーザーの操作負担などは間違いなく軽減されます。もちろん環境によって変わると思いますが、長い目で見れば、これらの負荷軽減により、従来型のクライアントPCよりもトータルコストが下がることが期待できます」(野副氏)

 損保ジャパンでは今後、日本興亜損害保険との合併による新会社のクライアントPC約1万台についても、今回導入したVDI環境に組み込む予定だ。さらに、損害調査系のクライアントPC約1万3000台には同様のインフラを利用してアプリケーション仮想化環境を提供し、合算で約3万8000ユーザーまで拡張する予定だという。

 日立は今後も、損保ジャパンおよび新会社のセキュリティ対策、BCP強化、ワークスタイル改革などの価値創出を強力に支援していく考えだ。

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年2月27日