「PC貸して!」の頼みを振り切るエレガントな回答術萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/3 ページ)

前々回に掲載した「あなたのセキュリティの“センス”を問う6つの質問」の答え合わせを続ける。論理的思考な人が陥りがちな問題点を解説しよう。

» 2014年09月12日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

 今回は、前々回に掲載した「あなたのセキュリティの“センス”を問う6つの質問」の解説を続けよう。最後に挙げた例題6に対する答えは、実は奥が深い。

例題6:あなたは某大学の女子学生です。友人のA君が「PCが故障しているので、1週間ほど貸して!」とお願いしてきました。さて、あなたはどんな行動をしますか。その行動をした理由について述べてください(制限時間10分)。

 前々回に記載した通り、この答えは「筆者の経験では100人いれば20種以上の回答があり、10種類は正解という感じだ」である。質問の主旨を「エレガントな回答を求む!」と理解してもらっても構わない。筆者が研修などの場で実際にこの問題を出す際には、口頭で次のようにお話している。


 あなたは都内の某私立大学の3年生です。どこにでもいるごく普通の女性です。ただ、中学、高校と陸上部に所属していたので、スタイルだけは多少自信をもっといます。現在は理工学部でバイオサイエンス関連の研究室に所属し、講義を受けながら就活をしている。出身は山形であり、いまはアパートで一人暮らしをしています。同じ研究室にはA教授、B准教授、大学院生が3人、4年生が2人、3年生が5人います。この様な環境である日、院生のM君がこう切り出しました――。

「自分のノートPCを落として壊しちゃったよ。メーカーに問い合わせをしたら、まだ保証期間内なのでタダで対応してくれるらしいけど、修理に10日から2週間くらいかかるって……。その間にA教授から頼まれた論文を1つ提出しなければいけなくてさ。学内なら大学の貸与パソコンでなんとかなるけど、自宅じゃ作業できなくてね」

「君はノートパソコンを2台持っていたよね。その間だけでも1台を貸してくれないかな? Officeがあれば大丈夫。ネットは僕のスマホで何とかするし。ちょっとだけどお礼もするよ。学食のA券5枚、いや10枚あげるからさ」


 こういう感じで依頼されれば、同じ研究室仲間なのでついつい貸してしまうのではないだろうか。「いいんじゃないですか」「親切に貸してあげるべきでは?」と思われた女性読者がいるかもしれない。しかし、筆者はこの裏に隠れた“怖さ”を知っている。

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