ラスベガスのベネチアンホテルで「IBM Enterprise 2014」が開幕した。多くの企業は、モバイルやソーシャル、ビッグデータといった新しいテクノロジーの波に乗る準備がいまだ十分ではない。IBMは、古臭いイメージのメインフレームをモダン化し、Powerをオープンイノベーションで生まれ変わらせ、デジタル時代の最適なITインフラとして売り込む。
ハードウェアのコストが劇的に下がるにつれ、いつしかわれわれはその価値も相対的に低下していると感じ始めた。IT業界の巨人であるIBMが、PC事業に続いてx86サーバ事業もLenovoに売却したことは、ひとつの時代の終わりを象徴する出来事だ。しかし、その彼らもサーバやストレージといったITインフラストラクチャーが重要でなくなるとは考えていない。ほとんどのコンピュータメーカーがあきらめてしまった自前のプロセッサ開発にも数十億ドル規模の投資を継続しており、むしろ「クラウド」「ビッグデータ」、そして「エンゲージメント」に最適なITインフラへのシフトを加速する。
米国時間の10月6日、ネバダ州ラスベガスのベネチアンホテルで「IBM Enterprise 2014」カンファレンスが開幕した。昨年から始まったこのカンファレンスは、経営層を対象としたExecutive Summitと技術者向けのTechnical Universityという2本立てで構成され、初日朝の基調講演には47カ国約3600人の顧客やパートナーらが詰めかけた。
「モバイルとソーシャル、ビッグデータ、そしてクラウドといった新しいテクノロジーを企業がビジネスの成長のために活用しようとすれば、それに適したITインフラが欠かせない」と話すのは、IBMでシステムテクノロジーグループを統括するトム・ロザミリア上級副社長。
同社がこの7月にまとめた調査結果によれば、顧客企業もその7割はITインフラこそが競争優位をもたらすと考えているものの、クラウド、アナリティクス、モバイル/ソーシャルといった新たなテクノロジーに対して十分な準備ができていると回答した企業は1割にも満たないという。
「平均的な人でもスマートフォンや携帯電話を1日150回もチェックするという。当然、顧客との緊密な関係を構築する手法も大きく変わるし、企業への期待値も変わる」とロザミリア氏。
かつて情報システムの応答時間として許容されるのは3秒以内という「3秒ルール」があったが、今は「5分ルール」というのがあるらしい。飛行機やレストランなどでひどい扱いを受けたとき、その不満をTwitterでつぶやき、5分以内に対応してもらいたいと考える人が多いのだという。少し理不尽なところもあるが、デジタル時代にあっては企業が受け入れざるを得ない新たなルールなのかもしれない。
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