ビックデータ分析のリーダーであるTeradataは先週、都内で「Teradata Universe Tokyo」を開催した。新共同社長に就任したばかりのウィマー氏は、ベストな技術や製品を組み合わせ、コンサルティングサービスとともに提供することで、企業がビッグデータから価値を引き出す取り組みを支援していくと話した。
「新しいテクノロジーやセンサーを上手く活用することで企業は競争優位を築くことができるようになった。むしろ、上手く活用できなければ、市場から消えていくことになるだろう」── こう話すのは、先週、「Teradata Universe Tokyo 2015」カンファレンスのために来日したTeradataのハーマン・ウィマー共同社長だ。
Teradataは約30年前、並列処理型のリレーショナルデータベースを世に問い、あらゆる処理を並列で行おうとするそのアーキテクチャーはいまだに他社の追従を許さない。世界の名だたる企業がTeradataで大規模なデータウェアハウスを構築し、日常業務の意思決定支援に役立ててきたが、ソーシャルやモバイル、あるいはセンサーから日々、多種多様で、かつ膨大なデータが生成されるようになると、多くの企業がそうした「ビッグデータ」からもビジネスに役立つ価値を導き出すことができるのではと考え始めた。
「例えば、製造業においても、製品に組み込まれたセンサーが、実際にどのように使われているのかを教えてくれるようになった。その分析から得られる洞察は、売り上げ向上に生かせるだけでなく、予防保守サービスにも役立てられるし、新製品開発のヒントにもなる」とウィマー氏。
最近まで米国以外の欧州やアジアを統括していたウィマー氏は、今もドイツのミュンヘンを拠点とする。そのミュンヘンに本社を置く大手複合企業のSiemensでも、あらゆる種類のデータから価値を引き出そうとTeradataをパートナーに選び、18カ月前にプロジェクトをスタートさせたという。ウィマー氏は、近い将来、同社にとって最大の顧客になると期待を寄せている。
これまでTeradataが得意としてきた業界は金融、通信、小売りだ。2014年の売り上げを見ても、これら3つの業界が64%を占めているが、IoT(Internet of Things)によってデジタル化が進む製造業も13%と伸び、トップ3との差を詰めてきた。「サービス品質と生産性の改善」という、製造業が最も大切にする目的に限定しても、Siemensが取り組もうとしているセンサー、プロセス、マシンデータの収集・統合は効果的だろうし、さらにソーシャルのデータを取り込んだり、顧客との取引データと組み合わせて分析すれば、新たな価値を生む。今後は、業界を問わず、さまざまなデータを貯めておく「データレイク」の考え方が浸透していくはずだ。
「あらゆるデータから価値を引き出すべく、5年以内にすべての企業がデータレイクを構築するだろう」とみるのは、TeradataでCTOを務めるスティーブン・ブロブスト氏だ。
しかし、データレイクに貯められるデータのほとんどは、Teradataのようなリレーショナルデータベースで分析するのには向いていない。データの構造は多種多様で、かつ膨大だが価値あるデータはごく一部かもしれないからだ。Hadoopが注目され、多くの企業で導入が始まっているのにはこうした背景がある。
「Hadoopが人気を博しているのは、何もオープンソースでライセンス費用が要らないからではない。企業が多種多様で膨大なデータを貯める基盤として適しているからだ」とブロブスト氏。
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