Microsoftは「Microsoft 365 Copilot」の新デザインを発表した。段階的開示の設計や、コンテキストを理解し自律駆動する特化型エージェントの導入によって操作性と性能を大幅に向上。Excelでの利用率が33%増加するなど成果を上げている。
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Microsoftは2026年5月28日(現地時間)、「Microsoft 365 Copilot」の新デザインを発表した。Copilotアプリと「Microsoft Excel」(以下、Excel)をはじめとするMicrosoft 365各アプリにおけるAI体験を刷新し、業務の流れに沿った支援機能を大幅に強化した。
新設計では、操作画面の簡素化や応答性能の向上、作業文脈に応じた自律的な処理を実現しており、新UIの導入後にExcelでのCopilot利用率が33%増加するなど、利用者が目的から成果へ最短で到達できる環境の構築が進んでいる。
同社によると、開発の狙いは単に既存のツールへAI機能を追加することではなく、利用者の意図を確実に成果へと結び付けることにある。実際に利用者の声を反映し、従来の固定された入力欄から、作業内容に応じて柔軟に変化するワークスペースへと進化させた。
Copilotアプリでは入力欄の表示領域を拡大し、利用者がより詳細な指示や内容を入力できるようにした。入力欄の下部には作業内容に応じたツールや操作項目が表示されるほか、Microsoft 365の各アプリにも共通の入り口を配置。ユーザーの状況に応じて、最適な操作候補を提示する仕組みを採用した。
MicrosoftはAI時代のユーザー体験について、「画面設計そのものよりも生成結果の品質が重要」との考えを示した。Copilotが生成する回答の表現や構成、読みやすさ、有用性、信頼性が業務成果へ大きく影響すると説明している。
新デザインの策定に当たり、同社はユーザー体験(UX)全体を見直した。実際の業務における利用状況を分析した結果、Copilotアプリの「速度」と「分かりやすさ」に改善の余地があると特定。新しい設計では、目的を明確にした画面構成と、高速な応答性能を組み合わせることでこれらを解決している。
設計思想として採用したのが「プログレッシブ・ディスクロージャー」だ。必要な機能だけを最初に表示し、利用状況に応じて機能を段階的に開示する考え方だ。実際の画面では、左側のナビゲーション領域が展開、縮小可能になり、エージェントや会話履歴がすっきりと整理された。さらに、共有ピン留め機能やセッション履歴の参照機能が拡充されたことで、進行中の作業へ迷わず復帰できるようになっている。
入力領域は必要に応じて拡張可能となり、テキストを貼り付けた際も、その構造や書式を維持したまま送信前に編集できるようになった。画面上に多数の選択肢を同時に並べるのではなく、その瞬間に必要な情報を優先して表示する構成をとっている。
この「段階的に提示する」アプローチは、出力(回答)内容にも適用されている。Copilotはまず、一目で理解できるシンプルな回答を提示。その後のやりとりに応じて、データの構造化や「次の行動」の提案を追加していく。さらに、必要に応じて適切な書式設定や追加の指示、後続アクションの選択肢などもシームレスに示される仕組みだ。
この仕組みは「Work IQ」によって支えられている。Work IQは電子メールやファイル、チャット、会議情報などを参照し、業務内容に応じて支援内容を調整する。簡潔な回答が適切な場面では迅速に応答し、複雑な課題では深い推論を実施する。AIモデルの選択機能も利用できる。個別の文書だけではなく広範な業務文脈を踏まえることで、人事評価の時期や組織変更といった状況にも対応できる。
Microsoftは業務が明確な指示から始まるケースばかりではないと説明する。曖昧(あいまい)な疑問や整理されていない考えから出発する場面も多く、Copilotはそうした状態から方向性を明確化する役割を担うという。
性能面では大幅な改善を実施した。顧客テストによると、アプリの読み込み時間は50%超短縮され、従来比で2倍超の高速化を達成した。複雑なチャット指示への応答開始時間も10%改善した。出力内容の構造化も進み、内容の把握が容易になったという。
初期利用者からは、画面が整理され理解しやすくなったことや、業務への集中を支援する設計であることを評価する声が寄せられたとしている。
Microsoft 365各アプリにおけるCopilotも同様の方向で進化した。新体験の提供後、Copilot利用率は「Microsoft Word」(以下、Word)で27%、Excelで33%、「Microsoft PowerPoint」(以下、PowerPoint)で43%、「Microsoft Outlook」で30%増加した。
同社は、業務における「思考」と「作成(アウトプット)」の作業は密接に結び付いていると指摘する。実際に、資料を作成する過程で新しい構成を思い付いたり、データを整理する中でその数字が持つ意味に気付いたりする場面は少なくない。こうしたビジネスの実態に合わせ、Copilotの役割をさらに拡張したという。
具体的には、デザイナーやリサーチャーの他、Word、Excel、PowerPointといったアプリごとの「機能特化型エージェント」を導入。これにより、用途に合わせて最適化された支援が可能になった。Copilotは、単一の文書内で指示に応答するだけの存在から、広範な業務の文脈を理解し、アプリをまたいで自律的に処理を実行できる仕組みへと大きく発展を遂げている。
新しい入り口は各アプリで共通化され、作業内容を把握する起点として機能する。文書やデータの状況を理解し、適切な操作候補を提示する。起動後はサイドパネルが開き、文書編集の支援をする。変更提案だけでなく編集実行も可能であり、現在の動作内容は明確に表示される。
利用者は段落やセル、スライドなど作業中の箇所から直接Copilotを呼び出せる。チャットと作業領域を行き来する設計によって、実際の業務に近い形でアイデア形成と作業実行を結び付ける。
Microsoftは今回の刷新を単なる画面変更ではなく、業務用AI設計の方向転換と位置付けている。個別機能の提供から統合体験の提供へ、機能追加から成果創出へ、人間が技術へ適応する構図から、人間の働き方に技術を適応させる構図への移行を進めていると説明した。
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