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» 2015年03月20日 08時00分 公開

萩原栄幸の情報セキュリティ相談室:テロ対策に見るここがヘンだよ日本の感覚 (2/3)

[萩原栄幸,ITmedia]

ゴミ箱での対策

 一時、日本では何か危険性が騒がれる度に、駅からゴミ箱が撤去された。オリンピック期間中もゴミ箱が撤去されるかもしれないが、これは非常に不便だ。だからといって平時だけゴミ箱を設置していても、テロの危険性はある。

 日本のゴミ箱はそのほとんどが半透明であり、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ペットボトル」「びん・かん」など細かく分別するようになっている。そこに威力の大きい爆発物が仕掛けられたら、四方八方に爆風とガラス片などが飛び散るだろう。大参事になるのは素人でも容易に想像できる。

 米国のごみ箱は、上部からゴミを入れる大きな円筒型で、しかも頑丈なスチール製だ。円筒部分は二重構造になっている。中に爆発物があっても爆風は上にしか向かない。あとは頑丈な二重構造の円筒が多少歪むくらいだ。被害者は、ゼロもしくは爆風の影響で周囲の数人が被害に遭うだけだろうと思われる。

 また、外国ではテロ行為を防止するためにゴミ箱は、なるべく人通りの少ないところ、被害が最小限になる場所に設置されているという。しかし、日本は違う。東京メトロが2005年4月に発表したニュースリリースによると、利用者の利便性向上を目的に、全161駅251カ所の改札口付近にゴミ箱を設置するとある。このゴミ箱は、「中身が見える透明ゴミ箱」として再設置された。不審物を入れられても視認しやすく、駅員が常時監視できる改札口付近に設置することで、防犯対策に配慮しているとのことだ。

駅に設置されているゴミ箱(東京地下鉄より)

 ゴミ箱が半透明なのは、回収時に分別状況を確認するためだと思ったら、「爆発物が投入されたかどうか判別するため」らしい。なんとも残念すぎる。わざわざテロリストが、「これは爆発物です」と誰もが分かるような青色や赤色の導線やタイマーがむき出しになった――昔のイメージの――爆弾を放り込むわけがない。それなら、せめてビニール袋の中に入れ、一目では分からないようにするだろう。

 前述の通り、諸外国ではなるべく人通りの少ないにゴミ箱を設置するのに、日本は改札口付近に設置している。中身が透け透けのゴミ箱を駅員が常時監視するというが、ただでさえ多忙な改札口でいったい何人の駅員がゴミ箱を監視できるのだろうか。仮にできたとしても、テロリストは不審物とは悟られない様に投入するはずである。

 筆者が情報セキュリティの教育で毎回お伝えしていることの1つに、例えば日本人は「内部犯罪を“防ぐ方法”を検討」する。しかし、国際的には「内部犯罪が“発生した場合にどう対処すべきか”」を考える。この違いはとても大きい。だから日本人は、内部犯罪が発生すると右往左往し、狼狽してしまう。“発生した時の対処”のシミュレーションが全くできていないからだ。

 テロ対策でも同じことが言える。「不審物を入れさせない様に監視する」のではなく、「不審物が入れられ、爆発が起きても被害を極小化できる対策」が国際的な知恵である。

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