高機能の有償版も提供するほか、個人向けにモバイルアプリも展開する。
チェコのセキュリティ企業Avast Softwareは5月26日、中小企業向けのセキュリティソフト「Avast for Business」の日本語無償版や個人向けモバイルセキュリティアプリなどを6月から展開すると発表した。国内市場でのユーザーと製品の認知拡大を図る。
同社は世界186カ国で約2億3000万ユーザーを抱える。無償版のセキュリティソフトで多数のユーザーを獲得して高機能の有償版製品で収益を得るフリーミアムモデルを採用しているのが特徴。PC向けの日本語版セキュリティソフトは国内で190万ユーザーが利用しているという。
Avast for Businessは海外では2月にリリースされ、アンチウイルス(ファイル/Web/メール)やHTTP/HTTPSスキャン、ブラウザ保護、Webベースの管理機能などを搭載する。対応OSはWindowsとMacなど。最高執行責任者(COO)のオンドレイ・ヴルチェク氏によれば、リリース後3カ月で約10万社から利用申請があったという。
また、端末1台あたり月額2ドルで提供する有償版は上述の機能に加え、クライアントファイアウォールやアンチスパム、サンドボックス解析、データ消去、Microsoft Exchange/SharePointの保護(サーバのみ)といった機能を利用できる。
日本語版は6月末にダウンロード提供を開始する予定で、有償版の利用価格も「月額2ドル程度(約240円)にしたい」(ヴルチェク氏)という。
同社では6月から個人向けの日本語版モバイルアプリとして、メモリクリーナー(Android)、節電(同)、VPN(iOS/Android)をGoogle PlayやApp Storeで提供する予定。
同日会見した最高経営責任者のヴィンセント・ステックラー氏は、事業戦略について「いまのセキュリティソフト市場ではインターネット経由で品質の良い無償版製品を提供することが理に適っており、われわれは小売店での販売はしない。口コミによるユーザーベースの拡大に成功している」と述べた。
ステックラー氏は同社以前には米Symantecのアジア太平洋・日本地域担当副社長などを務め、日本市場の特徴にも熟知しているという。Avast for Businessについては、「中小企業ユーザーはシンプルに利用できることを狙って開発した製品であり、複雑なシステム環境が必要な大企業での利用には合わないだろう。基本的なセキュリティ機能を無償提供することにより、中小企業は少ない投資でセキュリティ対策を講じられる」と強調した。
個人向けモバイルアプリの提供に際して同社では、国内のインターネット利用動向も調査したという。その結果、日本ではアダルトサイトの検索が非常に多いことや、都内の無線LANアクセスポイント(1687カ所が対象)の24%で脆弱な強度の暗号化方式が使われていること、ホームルータの31%で管理者アカウントに「Admin」や「Password」といった初期設定がそのまま使われていることなどが判明したという。
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