クラウドサービスで躍進を続けるAWS。クラウドシフトを勧める急先鋒と思いきや、オンプレミスとのハイブリッド利用にも注力しているようだ。その理由とは──。
「クラウドは今やニューノーマル(新常態)になった」
アマゾンデータサービスジャパンの長崎忠雄社長は、同社が2015年6月2〜3日に開催した「AWS Summit Tokyo 2015」の基調講演でこう強調した。同イベントは、米Amazon Web Services(AWS)のクラウドサービスを国内で展開する同社が毎年開催しているが、今回は全体の規模として前回より大幅に拡大した。まさにAWSの勢いを実感させるイベントだった。
長崎氏は基調講演で、「3年前にはクラウドに興味を示さなかったお客様からも、ここにきてぜひ利用したいというご相談を数多くいただけるようになった。お客様の規模や業種・業態も大きく広がりつつある。その意味では、クラウドはもはや当たり前のITソリューションになったと実感している」と語り、「ニューノーマル」という言葉を幾度も繰り返した。
クラウドがニューノーマルになった背景として、長崎氏はAWSの利用形態から8つのポイントを挙げた。
1つ目は「スタートアップ企業による新たなビジネスの開始」。限られた資金でスピーディにビジネスを立ち上げなければならないスタートアップ企業にとって、ITリソースを必要な分だけ低コストで利用できるクラウドは打ってつけのサービスである。そのため、スタートアップ企業ではクラウド利用が当たり前になっているという。
2つ目は「あらゆる企業に求められるスピードアップ」。クラウドの利点としては「低コスト」「柔軟なITリソースの利用」「最新の機能やサービスの使用」といった点が挙げられるが、クラウドを利用する多くの企業が最も利点として挙げるのは「ビジネスに直結するスピード」だという。その認識がここにきて大きく広がっているようだ。
3つ目は「多様で異なるユーザーニーズ」。ビジネスに直結するスピードが評価されつつあるクラウドだが、必要となるITリソースに対するニーズは企業によって異なる。多様なニーズに対応するためには、クラウドの機能やサービスが豊富に整備されていることが求められる。「AWSはどのIaaSベンダーよりも豊富で多様な機能やサービスを取り揃えている」(長崎氏)という。
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