IDCの調査によると、国内企業のIoT活用はコスト削減などの社内用途からサービスの付加価値向上へと広がっていることが分かった。
IoTの用途、コスト削減からサービス向上へ――。IT専門調査会社 IDC Japanの調査から、企業のIoTの活用に変化の兆しがあることが分かった。
同社が実施した2015年の利用動向調査によると、IoTを利用している企業は340社で、利用率は4.9%。IoTの利用を用途別に見ると、産業機器の稼働状態の可視化、故障検知といった「社内用途」が9割を占めた。一方、産業機器のリモート管理/制御、顧客分析/マーケティングなどの社外用途は3割にとどまった。
IoTの利用を産業分野別で見ると、製造/資源セクタの利用率が最も高く(6.7%)、流通/サービスセクタ(5.0%)、公共/インフラセクタ(3.2%)、金融セクタ(1.3%)と続いた。製造/資源セクタの利用率が最も高いのは、組立製造/プロセス製造分野を中心に、古くからさまざまな組み込み機器がIoTとして活用されてきたことが関係しているという。
IDCは将来の展望として、今後、組み込み機器との親和性がそれほど高くない産業分野でもIoTへの関心が高まるとしている。また、分析技術の急速な進化に伴い、IoTを利用する企業が社内外の両方の用途でさまざまな付加価値を生み出すことが、競争を勝ち抜く上で必須になると指摘。また、IoTを利用する上での情報セキュリティ上の懸念が今後一段と強まると予測している。
IoT事業者に対しては、新たな産業分野の顧客を開拓する上で、各産業分野に特化したソリューションプロバイダーやコンサルティング会社と提携していくことが重要になるとし、その上で、顧客がIoTで収益を高めることを最優先に考え、他の事業者よりも多くのトライアンドエラーを繰り返すことが成功のカギになるとしている。
セキュリティについては、ビジネスの効率性を阻害しない「セキュリティReady」な状態でのソリューションの提供や、顧客へのセキュリティリスクに関する啓発活動を積極的に展開することが重要になるとしている。
このリポートは、全国の従業員規模100人以上の企業を対象とした、IoTの利用動向に関するWebアンケートおよび個別の対面インタビューの結果を基に構成されている。調査期間は2015年5月〜6月で、Webアンケートに対して回答があったのは6906社。
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