「スタイル変革を支援する会社に」 HPEが経営戦略を説明

分社化でエンタープライズ事業を継承した日本ヒューレット・パッカード(HPE)が新体制における経営方針を発表した。

» 2015年11月02日 20時00分 公開
[國谷武史ITmedia]

 米Hewlett-Packardの分社化に伴ってエンタープライズ事業を継承している日本ヒューレット・パッカード(略称「HPE」)は11月2日、1日の米国での分社化完了に合わせて新体制における経営戦略を発表した。

米国時間11月1日に発足した「Hewlett Packard Enterprise」の事業概要

 米Hewlett-Packardは、1日付でエンタープライズ事業の「Hewlett Packard Enterprise」(HPE)と、PCおよびプリンティング事業の「HP Inc.」に分社化した。この経過措置として日本法人は8月に、エンタープライズ事業の「日本ヒューレット・パッカード株式会社」(従前の社名を継承)、PCおよびプリンティング事業の「株式会社日本HP」にそれぞれ分社化。HPEの事業領域はハードウェアなどの「エンタープライズグループ」、クラウド関連が中心の「エンタープライズサービス」、ソフトウェアの「HPソフトウェア」、ファイナンスの「ファイナンシャルサービス」で構成され、直近12カ月の売上高は527億ドル、従業員数約25万人の規模となる。

日本ヒューレット・パッカード 代表取締役社長執行役員の吉田仁志氏

 日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志代表取締役社長執行役員は、分社化の狙いについて「市場の変化のスピードに追い付くだけでなく、変化のスピードを牽引する存在になるため」と説明した。その背景にはビッグデータやIoTなどの新たなテクノロジーを活用してビジネスモデルを変革させたいという企業ニーズの高まりがあり、同社は「New Style of Business powered by IT」をスローガンに、「HPはテクノロジーを利用してニュースタイルへの変革を遂げたいとする企業を支援する存在に生まれ変わる」(吉田氏)との方針を掲げている。

 HPE全体として新たに主力していくのは、「ハイブリッドインフラ」「セキュリティ」「データ指向経営」「ワークプレース・生産性向上」の4つの領域。「ハイブリッドインフラ」ではビジネス変革を支えるITインフラ領域を中心に、クラウドやオンプレミスを柔軟に組み合わせて利活用するモデルを推進していく。「ハイブリッドモデルが主流になるとの見方は、ヒューレット・パッカード自身の経験から学んだことによるもの。直近の10年間においてもM&Aにおけるデータセンターの統合や自動化の推進、ハイブリッドインフラへの移行などを進めてきた」(吉田氏)

HPEの注力領域

 「セキュリティ」は、今後に企業のクラウド化が進む中で高まる情報資産のリスクに対応するもの。特にパブリッククラウドのような外部のIT環境を利用するとなれば、自社では情報資産の管理や保護が難しくなっていく。「データ指向経営」は、スローガンにある「New Style of Business」の実現に不可欠なものであり、同社はデータがビジネスにつながる知見を生み出すための仕組みを提供していく。「ワークプレース・生産性向上」もNew Style of Businessのスローガンに直結する働き方の変革であり、同社従業員の83%が既にモバイルワーカーとして活躍しているノウハウを顧客に提供する。

 日本ヒューレット・パッカードとしては、HPEの注力領域を踏まえて「今まで以上に顧客志向となること、そして、社員・顧客・パートナーそれぞれの強いつながりによってNew Styleの実現を推進していく」(吉田氏)という。

「The Machine」プロジェクトの一例

 また、「New Style of Business」の実現に加えて将来に予想される社会問題の解決にあたることもHPEのミッションにあるといい、吉田氏は2020年にハイブリッドクラウドで必要となる電力消費量が日本全体を上回るとの予測を紹介。この解決に向けた一例として同社は、コンピュータのアーキテクチャを変革する「The Machine」プロジェクトに取り組む(関連記事)。The Machineは2019年を目標に研究開発が進むが、一部は既に製品に反映され始めているという。

 最後に吉田氏は、「日本企業がもっと元気になる支えになりたい。日本から海外への進出を目指す企業が日本ヒューレット・パッカードに求めるものは、グローバル企業としての知見やサポートにある」と抱負を語った。

コーポレートロゴも一新。新たに採用したバイタルグリーンは「成長や力強さを示す」(吉田氏)という。Hewlettの“tt”の2文字は密着しており、「社員、顧客、パートナーのすべてが協調していく気概を込めた」(同氏)とのこと

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