AWSのパートナーアライアンスが与えるインパクトWeekly Memo(1/2 ページ)

クラウドサービスで躍進を続けるAWSが、日本市場でパートナーアライアンスの拡大に乗り出した。ビジネスの拡大に向けた動きだが、市場競争の激化も背景にありそうだ。

» 2016年01月25日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]

“数”の拡大を打ち出したAWSのパートナー戦略

 「AWSのパートナーアライアンスはこれまで“質”を重視してきたが、これからは“数”も追求したい」

アマゾンウェブサービスジャパン パートナーアライアンス本部の今野芳弘本部長

 米Amazon Web Services(AWS)の日本法人、アマゾンウェブサービスジャパン パートナーアライアンス本部の今野芳弘本部長は1月22日、同社が開いた2016年のパートナー戦略に関する記者説明会でこう強調した。具体的には、現在約300社の国内パートナー数を2016年内に400社程度まで増やす計画だ。

 なぜ今、パートナー数の拡大に乗り出したのか。今野氏は「今後、AWSのクラウドサービスをお客様に“ニューノーマル(新常態)”として使っていただくようにするためには、パートナーアライアンスをもっと拡大してイノベーティブなサービスを提供していく必要がある」と説明した。要は、さらなるビジネスの拡大に向け、これまで重視してきた質とともに数も追求しようという戦略だ。

 今野氏はその具体的な手立てについて、「パートナーの経験・能力の向上や選択肢の拡大」および「新サービスの活用とイノベーション」という2つの観点から、それぞれの取り組みを2016年のパートナー戦略として次のように説明した。

 まず、「パートナーの経験・能力の向上や選択肢の拡大」については、次の5つの具体策を挙げた。

 1つ目は「APN(AWSパートナーネットワーク)のパートナー数とチャネルリセラー数の拡大」。AWSのパートナー制度であるAPNの新規パートナーをリクルートし、支援体制を強化するとともに、AWSのサービスを再販するチャネルリセラーも増やす構えだ。

 2つ目は「エンタープライズシステムの構築・運用能力向上」。AWSのハイタッチ営業との協業を強化するとともに、クラウドインテグレーションや可用性の高いシステムの構築・運用を行う能力の向上を図る。さらにファンディングやトレーニング、プロフェッショナル認定資格取得者の増強を図ることで、AWSサービス上でのエンタープライズシステム活用ニーズに対応するとしている。

 3つ目は「パートナーコミュニティの活性化」。これまで「金融機関向けAWS対応セキュリティリファレンス」を推進してきたが、このほど「医薬業界向けリファレンス」の活動も始まったという。

 4つ目は「コンピテンシープログラムの充実」。このプログラムはパートナーが持つコンピテンシー、つまりは得意分野の実績や技術力をAWSが認定することで、顧客がパートナーを選ぶ際の参考にできるようにしようというものだ。そして、5つ目は「ソリューションの無料お試しサイトの活用推進」である。

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