そもそも、パッケージソフトとSIを混同してはいけない【新連載】失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(2/3 ページ)

» 2016年10月24日 08時00分 公開

パッケージソフトの仕様に文句を言うのは筋違い……なのだが

 パッケージソフトウェアを使っていて、何か気に入らないことがあったとしましょう。例えば「このタブの形がもっとこうだったらいいのに」「あっちのソフトはこの機能があるのに、何でこれにはないんだろう」などと思ったら、皆さんはどうしますか?

 自分の望み通りに動くものを作る? リバースエンジニアリングで自分が欲しい機能をくっつける? 後者は倫理的に正しいかどうか、という問題はありますが、そんなことを考えたあなたは、ソフトウェア開発者でしょう。

 ソフトウェアを利用する大多数の人は、気に入らないことがあった場合、そのまま使い続けるか、別のソフトウェアに乗り換えるかの2択だと思います。次のバージョンに自分の希望が反映されるよう、熱心に製造元に対してメールを送り続ける人もいるかもしれませんが、「何で俺の思った通りに動かないんだ? すぐ直せ!」とクレームをたたきつける人はほぼいないと思います(いないと信じたい)。

photo パッケージソフトウェアを利用する人の多くは、仕様などについてクレームを出す人はいないと思います(写真はイメージです)

 ソフトウェアの開発者は、特定のユーザーだけのためにソフトウェアを開発、販売しているわけではありません。提供する機能は「作る側」が決めるのがパッケージソフトウェアの世界です。

 ところが、1ライセンス数千円のパッケージソフトウェアであれば、それが当たり前でも、数千万円や数億円という企業向けパッケージソフトウェアの取引となると、話が変わってきます。「何で俺の思った通りに動かないんだ? すぐ直せ!」とクレームを言う人が出てくるのです。

 1ライセンス数千円でも、1回の取引が数千万円や数億円でも「パッケージソフトウェア」の本質は同じ。利用者は自分が価値を感じる(対価を支払ってもいいと思える)製品を市場から調達し、ツールとして活用する。ソフトウェアの開発責任は開発企業にあり、それが市場で生き残れるかどうかも開発企業の責任です。利用者に責任を転嫁できるものではありません。

 しかし、日本ではその状況がやや異なります。

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