外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。今回紹介するのは、機能追加に関するお話。購入時点で存在しない機能に期待して、パッケージソフトを導入するケースを見ますが、ほぼ100%追加されないと考えた方がいいでしょう……。
「今はその機能はありませんが、ソフトウェアなので何でも作れます。大丈夫です!」
さて、これまで4回に渡って、外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説してきました。読者の皆さんは、上のような言葉を聞いてどう考えますか? 「それなら安上がりで済みそう」「そんなうまい話があるはずが……」など、その感想はさまざまかと思います。
今回は外資系、国産を問わずに当てはまる、製品選定の場面でパッケージソフトウェアとSIを混同したために陥る失敗例を見ていきましょう。
社内にITシステムを導入する場合には、複数社にRFP(提案依頼書)を提示して、コンペになるのが一般的です。提案する側は、自社の製品を採用してもらおうと、長所はできるだけ強く印象付けられるように、短所があればどうやってそれを克服するか、または影響を最小化するかを説明します。
例えばあなたが、とあるシステムを調達するプロジェクトの責任者だとしましょう。今回は展開のスピードを重視し、従来のSIによるスクラッチ開発ではなく、パッケージソフトウェアを選定するように経営層から指示を受けています。RFPを複数社に提示し、その回答を評価したところ、この業界では一流企業で名が通っている2社に絞り込むことができました。
A社は投資に対して効果が得られるという試算を示していますが、経営層を説得するという「壁」がありそうです。
一方のB社は、相談を持ち掛けたところ、担当営業が役員と出てきて「今は実現できていませんが、ソフトウェアですし、開発すれば実現できる機能です。しかも、それを当社の開発ロードマップに入れてしまえば、費用を負担いただく必要もありません。われわれもそうなるよう精いっぱい働きかけますので、ぜひ当社を選んでください!」とアピールしてきました。
さて、あなたはA社とB社のどちらを選択しますか? 「機能は将来開発してくれると言っているし、追加費用もいらないと言っているのだから、B社でもいいんじゃないか」と思ったなら、パッケージソフトウェアとSIを混同している可能性が高いです。結果、その機能が実現されずに、パッケージソフトウェアを入れた目的を達成できない、というケースも数多く耳にします。
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