自分ではできない。あるいは、膨大なコストや時間がかかる。しかし、お金を払えばあっという間に解決してしまう。しかも妥当な金額でできるとすれば、お金を払ってでも手に入れたいと思うはずです。
これでは、「お金を払ってでも」とは思いません。
いくらだったら払えるのかを明らかにし、その根拠を論理的に証明できることです。それがなければ、その企画や提案がどれほど「よくできた」内容でも、ビジネスにはできないでしょう。
こういう明確な「特別」があれば、ビジネスの決め手になるでしょう。
AIやクラウドに代替される可能性はありそうですが、いち早くスタートを切ることで、一定期間の「特別」を担保できるかもしれません。
AWS(アマゾン ウェブ サービス)が魅力的であるのは、コストではありません。他の追従を許さないサービスの品ぞろえと、その優位を維持し続けるために新しいサービスを提供し続ける、圧倒的な頻度とスピードが、彼らの「特別」となっています。
何が自分たちの絶対的な「特別」なのか――。それを明確にすることです。
「自分たちに何ができるだろうか」を考え、「それを使って何かできることをやろう」という発想は、失敗の王道です。なぜなら、顧客は自分の「困った」を解決してもらいたいのであって、あなたの「できることの提供」を求めているわけではないからです。
「顧客の課題を解決するためにすべきことは何か」を明らかにすることです。すべきことを実現するためには、自分たちに「できること」もあれば、「できないこと」もあるでしょう。「できること」に悩む必要はありません。「できないこと」は何かをはっきりさせ、それを解決し、「できること」と組み合わせることができてはじめて、「すべきこと」が実現するのです。
ここでいう「課題」とは、「すべきこと」が実現するために解決すべきこととなります。これを明確にし、その課題を解決するための方策を考えることが、ビジネスを成功させる筋道です。
失敗のリスク挙げ連ねて「すべきこと」を葬るのではなく、どうすればできるかを分析的に捉え、その実現に向けた知恵を絞ること。
そんな視点で、事業戦略や新規ビジネス、顧客への提案において、考え、議論してみてはいかがでしょうか。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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