「Firefox」の開発者が発した、「Windows 10ではPC向けのアンチウイルスソフトを買ってインストールするのは不要で、マイクロソフトが提供する無料のアンチウイルスサービスだけでいい」という言葉、果たして真実なのでしょうか。
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PC初心者:「PC壊れた、買い換えよう」
PC中級者:「PC壊れた、直そう」
PC上級者:「PC壊れた、買い換えよう」
……これは、2ちゃんねるでたまに見るコピペです。いわれてみるとこのようなことはあらゆる分野でありがちなもので、初心者の意見と上級者の意見が不意に一致することがあります。ただし、結論は一緒でも、そこに至る経緯は異なりますので、その結論だけで判断するのは危険かもしれません。
そんなことを思わせるような“物議を醸す出来事”がありました。Webブラウザ「Firefox」の開発者が、「Windows 10ではPC向けのアンチウイルスソフトを買ってインストールするのは不要で、マイクロソフトが提供する無料のアンチウイルスサービスだけでいい」とブログに書き記したのです。
これに対して、セキュリティベンダーのカスペルスキーが反論しています。
個人的にも、この話にはとても興味がありました。確かに、PCにアンチウイルスソフトを入れなくていいという人もいるのですが、その意見はまさに「セキュリティ上級者」(もちろん、上記Firefox開発者も“上級者”)のものなのです。その裏側にはどんな「経緯」があるのでしょうか。
セキュリティに携わる人であれば、2014年のとある発言を覚えていることでしょう。セキュリティベンダーのシマンテック幹部による、「ウイルス対策ソフトは死んだ」という、衝撃の発言です。
衝撃の……とはいうものの、今から振り返るとその言葉は間違いなく真実です。ただし、その意図は「ウイルスのみの対策で守れる時代は終わった」ということです。その意味では、「2014年よりもはるか前に死んでいた」といってもいいでしょう。
私は、多くのセキュリティベンダーは、この言葉に“ある意味救われたのではないか”とも思っています。これをきっかけに、今や多くのベンダーがキーワードとして掲げている、複数の手段を用意して脅威をどこかで止める「多層防御」の時代になったのですから。
さて、その視点で、「アンチウイルスソフトは不要」という言葉を考えてみましょう。
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