だからといって、SNSをやっている人に「そんな投稿は自粛しろ!」と言っても意味がありません。SNSは(自己の責任において)自由に投稿する権利があるからです。しかし私たちには、「投稿を見ない権利」もあります。SNSに限らず、インターネットにおける情報のやりとりは、発信側を規制するのではなく、「受信側で工夫する」という考え方が私は正しいと思っています。
例えばTwitterには、最近(やっと)単語単位でのミュート機能が追加されました。これは特定のキーワードを指定すると、そのキーワードが含まれるツイートを「非表示」にしてくれるというものです。映画作品や海外ドラマのあらすじや感想を見たくなければ、作品名を登録しておけばいいでしょう。しかも、「1カ月間」「1週間」などの期間指定も可能であるなど、とても便利です。
さらに私の場合、TwitterやFacebookなどで「人単位のミュート」をフル活用しています。私は、“ネタバレ大嫌い派”ですが、世の中にはネタバレを許容し、気にせずにガンガン発信する人もいます。そんな“ネタバレ許容派”の人を積極的にミュートすることが、心の平穏を保つためには必要だと考えるようになりました。以前なら、SNSのフォロー外しやブロックをするしかなく、「リアルな人間関係にも影響があるから」と考えていたころもありましたが、ミュート機能なら影響はありません。
「SNS疲れ」などという言葉が一般的になった今、コミュニティーによってはリアルな生活に影響が出るほど、SNSが暗い影を落とすこともあるようです。相手を変えることはできなくても、自分の行動を変えることで気持ちも軽くなるはず。疲れたと感じたりイヤな思いをしそうなときは、ミュートをフル活用してみましょう。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。皆さんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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